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「なぜ女子バスケ日本代表の3Pシュートは“世界一”決まるのか?」193cmエース不在でも“初メダル”まで一気に躍進できた理由
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2021/08/07 20:01
男女通じ初のメダル獲得を決めた女子バスケ代表。準決勝フランス戦での宮澤夕貴(52番)の3Pシュート
日本は平均得点83・6とアメリカとまったく同じ数字でトップだが、特に3ポイントのカテゴリーに関しては世界一の数字を残している。
1試合に31.8本平均の3PAということは、1Qにつきおよそ8本の3Pを打っていることになる。単純にいえば75秒に1本は3Pが放たれ、その4割がネットに吸い込まれる計算になる。
3Pシュートの正確性は、現代バスケの成功のレシピで大きな要素を占める。
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個人的に重要だと思っているのは、2015、2017、2018とNBAファイナルを制したゴールデンステート・ウォーリアーズの存在だ。210センチ前後のセンターを用いず、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソンといったシューターを中心にオフェンスを組み立て、頂点に立った。
それ以前から3ポイントの重要性は論じられていたが、ウォーリアーズのスティーブ・カーHCはそれを高次元で実現させたのである。
当然、世界中にその影響は広まる。一度のオフェンスで、2点よりも3点を狙う方が単純に効率がよいのは自明の理だからだ。
アメリカ人ヘッドコーチ「3Pをどんどん打って」
では日本代表には、それがどういった形で表れたのか。
2017年から女子日本代表のヘッドコーチにアメリカ人のトム・ホーバス氏が就いた。
当初、ホーバスHCはアメリカ流の合理性を選手たちにインストールしようとしていた。
シュートはワンハンドで。一本、一本を正確に。
しかし関係者によると、ある時期からヘッドコーチに変化が見られるようになったという。
「日本の選手はもともと3ポイントシュートも、フリースローも上手なので、無理にワンハンドに変える必要がないと気づいたようです。いちばん大きな変化は、『3Pを入れて』と言っていたのが、『3Pをどんどん打って』という言葉に変わったことです」
数多く打てば、それだけ入る。
バスケット用語でいうところの、「アテンプト」を増やす方針を固めたのだ。
この方針が導かれたのは、代表に入っているほとんどのメンバーが3Pシュートを打てる高い技術を持っているからに他ならない。うれしいことに、全員が遠い位置からのシュートの正確性が増している。
193cm渡嘉敷の不在→3Pの徹底へ
ただし、徹底せざるを得なかったのは、日本代表を長年支えてきた渡嘉敷の戦線離脱が影響していると思う。
昨年12月、渡嘉敷が右ひざの靭帯断裂に見舞われ、オリンピックでプレー出来ないと分かったとき、誰もが「厳しい」と思ったはずだ。