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「なぜ女子バスケ日本代表の3Pシュートは“世界一”決まるのか?」193cmエース不在でも“初メダル”まで一気に躍進できた理由
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2021/08/07 20:01
男女通じ初のメダル獲得を決めた女子バスケ代表。準決勝フランス戦での宮澤夕貴(52番)の3Pシュート
バスケットボールは、時間と得点によって適応すべきプレーが変わり、二度と同じシチュエーションは訪れない。その際、頼りになるのは経験値であり、その値を豊かにするのは異なったバックグラウンドの選手たちがいることだと思う。
本橋、林というインカレ優勝校の中心選手が代表に入って活躍しているのは、決して偶然ではないと思う。
思い出す6年前“ブライトンの奇跡”
さて、決勝戦の相手はアメリカである。
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私が敬愛するチームのひとつであり、アメリカバスケ界の「顔」で40歳になったスー・バード(彼女のパートナーは女子サッカー代表のメーガン・ラピノー)、アルゼンチン系アメリカ人のファンタジスタ、ダイアナ・タウラシも39歳となり、代表では最後の試合になるのではないか。
アメリカはスカウティングに優れたチームであり、日本の弱点であるゴール下に集中砲火を浴びせてくる。また、大ブレイク中の町田に対してどんなプレッシャーをかけてくるのか、それを見るのが怖くもあり、楽しみでもある。
紙の上でデータを比較して、日本の勝ちを予想する人は誰もいないかもしれない。
それでも、日本代表のスタッフ、選手たちが信じていればいい。
ラグビーを書いてきた人間から言えるのは、2015年9月19日、イングランドのブライトンという街で、日本代表のスタッフとメンバー全員が南アフリカに勝てると信じ、それを実現したことがある。
比較対象として適切かどうかは分からない。
ただ、数年前に自分たちを信じて戦った日本人がいたことを、決戦前のいま、記しておきたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。