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優勝候補スペインとの引き分けをどう見る? 中西哲生が分析「東京五輪で勝つための方法」
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/07/21 17:02
久保からのラストパスから堂安の完璧なゴールで、優勝候補スペインに引き分けたU-24日本代表
同点、リード中、先制された…様々な状況で勝つために
後半は7人の選手を入れ替え、前半同様に自陣に押し止められる時間からスタートしました。その後は自分たちで意図的にボールを動かす時間もあり、相手ゴールへ迫る場面も作った。1対0でリードをしている時間帯と、1対1の同点で戦った時間帯があった。今回のスペイン戦では、様々なシチュエーションのもとで戦うことができたのです。
国際大会を勝ち上がっていくためには、様々な状況を想定しておく必要があります。スコアだけでも、同点で推移している、リードを奪っている、追いかけている、という状況がある。さらにプラスして試合の流れがあり、時間帯があり、もちろん対戦相手の違いがある。
スペイン戦で経験したシチュエーションを、五輪の戦いにうまく当てはめていくべきでしょう。「ボールを握れなかった」のではなく、「相手に握らせた」と解釈するなどして、戦い方に幅を持たせていくのです。自分たちが理想とする展開で勝点3を奪うのはもちろん、そうではない展開でも勝利を引き寄せることが、チームの目標達成につながっていくはずです。
小さなスキを見抜く“久保の冷静さ”
堂安律が決めた先制ゴールは、彼の特徴が発揮された素晴らしいものでした。左サイドから相手のマークを振り切ってドリブルで持ち込み、丁寧なラストパスを通した久保建英のプレーも称賛されるべきでしょう。
この得点シーンを見て、私は6月のジャマイカ戦を思い出しました。32分に久保が決めた先制ゴール──GKを含めて4人の選手の股間を抜いた一撃──は、飲水タイムの直後でした。さらに言えば、酒井宏樹のスローインを受け、ドリブルからシュートへ持ち込んでいます。
飲水タイム直後のプレーでは、相手の集中が途切れたり、相手にスキが生まれたりする。言い換えれば試合が動くポイントを、久保が冷静に感じ取っていることが読み取れるゴールでした。