スペイン戦のアシストにも、同じことが言えます。

　ドリブル突破のシーンを巻き戻すと、旗手怜央からスローインを受けています。さらに時間を戻すと、旗手とメリノが空中戦を競り合い、メリノがピッチに倒れ込んで試合が中断していました。世界のトップレベルで戦っているスペインの選手が見せた小さなスキを、久保は冷静に突いたのです。ラ・リーガで戦っている彼にすれば、当然のことかもしれませんが。

なにより「先に取れなくても慌てない」

　国際試合では、先制点がカギを握ると言われます。

　私自身は、「先に取れなくても慌てない」ことが大切だと考えます。先制して1対0で逃げ切る、相手が前がかりになった背後を突いて2対0にする、といった試合展開は理想的ですが、0対0の時間帯に焦ったり慌てたりしなければ、このチームは論理的に相手を崩すことができます。

　3月にU-24アルゼンチンとの連戦を消化し、6月にオーバーエイジが合流し、開幕直前にホンジュラス、スペインとテストマッチを消化したここまでは、予定どおりに準備を進めることができたと言えるでしょう。ただ、コロナ禍で開催される短期決戦では、何が起こるか分からない。何が起こってもおかしくない。ピッチの内外で想定外の事態に対応できるかどうかが、ここからは問われていくと思います。