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優勝候補スペインとの引き分けをどう見る? 中西哲生が分析「東京五輪で勝つための方法」

posted2021/07/21 17:02

 
優勝候補スペインとの引き分けをどう見る? 中西哲生が分析「東京五輪で勝つための方法」<Number Web> photograph by Getty Images

久保からのラストパスから堂安の完璧なゴールで、優勝候補スペインに引き分けたU-24日本代表

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中西哲生+戸塚啓

中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka

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 U-24日本代表の冒険が、いよいよ幕を開ける。

 東京五輪の初戦となる7月22日の南アフリカ戦を前に、17日に最後のテストマッチが行なわれた。U-24スペイン代表と対戦し、1対1で引分けた。

 優勝候補の呼び声も高い相手との角逐を通して、日本は何を得ることができたのか。森保一監督が目ざす金メダル獲得は、果たして実現可能なターゲットなのか。久保建英らのパーソナルコーチを務める中西哲生氏に解説をしてもらう。

◆◆◆

 東京五輪前最後のテストマッチとなった7月17日のスペイン戦は、1対1の引き分けに終わりました。日本は前半と後半でガラリとメンバーを変え、来日間もないスペインはベストコンディションではなかった。互いに差し引いて考えるべき要素のある結果ですが、そのなかでも見えてきたものがありました。

ボールを握ることで勝つ確率が必ず上がるわけではない

 12日のU-24ホンジュラス代表との試合では、とくに前半の戦いでボールを握ることができました。同じことをスペイン相手にもできるのか。できなければどのように対抗するのかに注目していたのですが、公式記録によると日本のボール支配率は36.2パーセントでした。ホンジュラス戦は57.4パーセントでしたから、スペインにボールを握らせてもらえなかったことが分かります。

 森保監督と選手たちからすれば、自分たちでボールを保持する時間を増やし、試合のイニシアチブを掌握したかったでしょう。それが、このチームの目ざしてきたものです。ただ、ボールを握ることが正義ではないし、握ることで勝つ確率が必ず上がるわけでもない。

 だとすれば、握らない選択肢があってもいい。

 梅雨の明けた首都圏は、連日30℃を超える暑さに見舞われています。グループリーグの日本の試合は20時か20時半キックオフですが、日が落ちても蒸し暑さはしぶとく居座ると考えられます。

 さらに加えて、グループリーグは中2日で行なわれます。グループリーグ第3戦から準々決勝、準々決勝から準決勝も中2日です。

 暑さと過密日程を乗り切り、表彰台へ辿り着くには、一つひとつの試合でできるだけ消耗を抑えたい。たとえば、前半のうちに先制点を奪い、後半が中頃に差し掛かったら、ポゼッションからカウンター狙いへ切り替え、相手を自陣へ引き込みながらその背後を突いていく、といったことを考えてもいい。

 スペイン戦の前半は、相手にボールを握られました。30分あたりまではなかなか攻撃を仕掛けられなかったですが、飲水タイムをきっかけに攻撃の回数を増やしていった。その流れのなかで、42分に先制点を奪うことができました。

【次ページ】 同点、リード中、先制された…様々な状況で勝つために

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