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宇都宮ブレックス・安斎HC「精神的にギリギリまで追い込まれていた」 CSで千葉に敗れたとき、東地区覇者が考えたこと
posted2021/06/20 06:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
TOCHIGI BREX INC.
Bリーグ史上2位タイとなる49勝11敗というレギュラーシーズンの成績を残し、東地区優勝と今季のリーグ最高勝率を記録した宇都宮ブレックス。しかし、プレーオフにあたるCSでは、2戦先勝方式のファイナルで千葉ジェッツに1勝2敗で準優勝に終わった。
この状況をどう捉えているのか。まだ来シーズンに向けた選手たちの去就の大半が発表される前の6月14日。安斎竜三HC(ヘッドコーチ)がこの1年を振り返った。
天敵・川崎戦ではビッグラインナップを採用
――どんなシーズンでしたか?
「Bリーグではチーム力の差が年々小さくなっていますが、シーズン後半戦はどの相手でも勝ち切れるゲームが多くなったことが良かったです。東地区で優勝するという目標をかかげ、そのために自分たちにプレッシャーをかけてきて、それを達成できました。その結果、CSでもホームで開催できるアドバンテージを取れて、世間的にもこういう厳しい状況のなかで(ホームゲームを多く開催できたことで)売り上げの面でも貢献できたし、最初の目標が達成できたのは良かったです」
レギュラーシーズンでは圧倒的な強さを見せたブレックスだったが、天敵ともいえるチームがあった。今シーズンの公式戦で1勝4敗、昨シーズンも1勝4敗と大きく負け越した川崎ブレイブサンダースだ。川崎は3月の天皇杯王者であり、今シーズンCSでも彼らの優勝を予想する声がかなり多かった。
川崎の強みは、出場する5人のうち、身長が高く、インサイドでのプレーが得意な選手を3人同時に起用するという「ビッグラインナップ」を長時間採用するところにあった。ただ、そんな相手との準決勝では、2連勝でファイナル進出を決めた。
――今季のブレックスはほとんどビッグラインナップを採用してこなかったにもかかわらず、少しのトレーニングを経て川崎戦で採用しました。「博打に近い」という意見も聞かれましたが。
「いや、博打ではなくて、確固たる考えがありました。川崎の守備力を考えると、僕らがビッグラインナップを採用しても、しなくても、攻撃で多く点数を獲って勝つような展開は現実的ではなくて。むしろ、相手がビッグラインナップをやってくる時間帯に守備で耐えられれば勝てるという考えだったので。具体的には守備時に、(ビッグラインナップを採用する前までは高さの部分で)ミスマッチになっていた川崎のアギラール選手の攻撃をどう耐えるのかを考えました」
――今季のブレックスがリーグ最強の守備力を備えていることは各種データからも明らかでした。あの選択も、チームの強みを出そうと考えたものだったと?