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宇都宮ブレックス・安斎HC「精神的にギリギリまで追い込まれていた」 CSで千葉に敗れたとき、東地区覇者が考えたこと
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTOCHIGI BREX INC.
posted2021/06/20 06:00
安斎HC率いる宇都宮ブレックスはCSで千葉ジェッツに敗れ準優勝に終わった
田臥「いつでも出れる準備はしておくから」
「ちょうどCSが始まる週の練習で(田臥)勇太から言われたんですよね。『いつでも出れる準備はしておくから、竜三は勝つための一番の判断をしてほしい』と」
2人はキャプテンとHCという間柄でありながら同じ歳であり、安斎HCは14年前のチーム初年度から、キャプテンの田臥は13年前からブレックスに所属して、現在の基盤を築いてきた。
――彼の発言で背中を押された部分もあったということですね。
「勇太もあのような舞台で長く試合に出たいはずだし、自分が出たらやれると思っているはずで、そこには色々な葛藤があったと思います。ただ、ずっと一緒にやってきているので、僕が色々考えたり、気にするというのを彼はわかっていたというか。他にも、(同じくベテランの喜多川)修平との会話の中で『気にしないでください』と。そこは本当に助けられた部分でしたね。CSでは毎試合、自分のその時の感覚で勝ちに行けるローテーションを選択できたので」
――キャプテンの田臥選手は過去のCSと比べて試合にはあまり出られなかったものの、ベンチからかなり声を出している姿が話題になりました。
「存在感はめちゃくちゃありました。特にファイナルの2戦目にリードしながら追い上げられて、雰囲気が悪くなりそうなときがあったのですが、タイムアウトのときには『守りに入るな』と言ってくれました。かなり厳しい口調でしたが、それで周りの選手も色々と気づかされた様子がありましたし。そうやってチームを一つのところに向かせる力が彼にはあります。試合に出ていない時間帯でも、チームを動かしている一人です」
「ファイナルの映像は見たくもないというか…」
ただ、そのファイナルでは千葉相手に1戦目と3戦目に敗れて、準優勝に終わった。レギュラーシーズンの対戦を振り返っても、昨季は3勝負けなし。今季も3勝1敗だった。とりわけ今年1月に対戦したときには今季のベストゲームと言える試合内容で2連勝した相手だったのだが……。
――ファイナルでは何があったのでしょう?
「今もまだあの映像は全く見返せていないですし、見たくもないというか……」
――CSで勝つために勝負に徹していましたし、絶対的な自信をもって臨めたはずでしたが。
「1戦目はうちのバスケットが全然できなかった。ただ、2戦目を前に『ここで勝たなければ終わり。なんのためにレギュラーシーズン60試合をやってきたのか』と全員が話していましたし、それで勝つことができました。もちろん、1戦目でそういう部分がもってこれればよかったということですが……」