バスケットボールPRESSBACK NUMBER
宇都宮ブレックス・安斎HC「精神的にギリギリまで追い込まれていた」 CSで千葉に敗れたとき、東地区覇者が考えたこと
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTOCHIGI BREX INC.
posted2021/06/20 06:00
安斎HC率いる宇都宮ブレックスはCSで千葉ジェッツに敗れ準優勝に終わった
「戦術面で上手くいかなかった部分は覚えています」
――そして3戦目。第3Q(クォーター)を同点で終えましたが、第4Qで千葉の富樫勇樹選手が出てきたあたりから、それまで強固だったブレックスの守備にほころびが出てきたように見えました。
「実際、細かい部分は僕もあまり覚えていないんです。ただ、最後の方はキツくなってきた感覚がありました。うちの選手たちもかなり疲れていて。足が動かないなと感じて、終盤に色々な選手交代を試しました。あのような最高の舞台で、色々なプレッシャーがかかるところで3試合戦い続ける大変さは、選手を見ていても感じましたし、僕自身も強く感じました」
――覚えていないというのはなぜなのでしょう?
「なぜでしょう……。ただ、戦術面で上手くいかなかった部分は覚えています。(拮抗した展開になって)オフェンスでは最近はあまり使っていないようなものを指示したんです。そういうオフェンスは、相手に警戒されていないために効果的だと思ったからです。でも、逆にうちの選手たちがそのオフェンスを上手くやるのが難しそうで。そういうところからオフェンスの流れも……。そこについては、僕の責任の部分がすごく大きいと感じています」
個性を出すことと、チームへの献身と
――千葉の選手たちの個人の能力の高さがファイナルで際立ったことから、『個人の能力こそが大切だ』という風潮が出ています。
「色々な意見があるし、『もっと個性を出せ』となるのもわかります。ただ、長いシーズンの中では個人個人の思いが出てきたときもあったし、色々なことがありましたが、それでも最後には一体感をもって、一つのチームになれた。そして、ファンのみなさんやスポンサーのみなさんが『今シーズンのブレックスはものすごく良いチームだ』と、勝ち負けではない部分も評価してくれたことが何よりで。選手たちに自己犠牲の精神がなければ、一つのチームになれないので。もちろん、選手たちは難しかったと思いますよ。これだけ質の高い選手が揃っていると、良いパフォーマンスが出なければ代えられるわけで。そのバランスはけっこう難しいですし、そこは今後につなげていかなければと思いますけど」