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日本代表「前半に苦戦したのはなぜ」「猛アピールに成功した選手は?」セルビア戦で注目すべき“4つのポイント”
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/06/12 11:03
植田直通とともに球際に激しいセルビアの攻撃陣にスキを見せず、クリーンシートを達成した谷口彰悟
存在感を猛アピールしたのは谷口彰悟だ。国際Aマッチでの先発が17年12月以来となる29歳のCBは、相手攻撃陣とのマッチアップで序盤から優勢を保つ。地上戦も空中戦も相手に仕事をさせなかった。彼と植田直通の両CBがセルビアに起点を作らせないことで、日本は主導権を握っていく。
しかし、前半のうちにセルビアを攻略することはできなかった。
トップ下の鎌田大地と2列目左サイドの南野拓実が、守備ブロックの間でボールを受ける回数が少なく、攻撃にスイッチが入らなかったのである。日本のポゼッション時は3バックから5バック気味になる相手守備陣に、うまくしのがれたということもできた。
〈後半〉開始早々のゴール「評価できる」2つのポイント
後半開始とともに、森保監督が動いた。ダブルボランチの一角だった橋本拳人に代わって川辺駿が送り込まれ、古橋が退いてオナイウ阿道が1トップに入る。
橋本はボール際で激しくプレーしたものの、攻撃のスイッチを入れるパスに苦労していた。セルビアが中央を締めてきたからでもあったが、遠藤との比較となると物足りなさが募った。
古橋は狭いスペースに押し止められ、持ち味を発揮しにくい状況に立たされていた。前線に起点を持ちたいと考えるなら、オナイウへのスイッチは妥当だった。
1対0の勝利につながる決勝点は、後半早々に生まれた。48分、鎌田の右CKをニアサイドの谷口がヘディングでファーサイドへ流すと、伊東がフリーでプッシュした。
ベストメンバーから半分ほどが入れ替わっているなかでも、リスタートは練習の成果を発揮しやすい。長身選手の多いセルビアに高さを発揮させなかった意味でも、この先制点は評価できる。
ここから先は試合運びが問われた。タジキスタン戦の前半のように、すぐに追いつかれるようではいけない。リードを保ちながら2点目、3点目を狙いつつ、相手にチャンスを与えずに試合を締めるのである。
63分には決定機をつかむ。カウンターから伊東が右サイドを突き、ペナルティエリア内のオナイウへパスを通す。背番号15はフリーで押し込んだが、オフサイドの判定で得点は認められなかった。
このあたりから、セルビアは足が止まってきた。守備ブロックにすき間が生まれ、日本の2列目が余裕をもって前を向けるようになる。3人目の動き出しで相手守備陣を揺さぶることができ、スコアは1対0のままでも勝利を疑う要素は見当たらなかった。
〈課題〉勝ったけど1点だけ…必要なのは「決め癖」
課題をあげるなら、追加点を取り切れなかったことだろう。