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「嫉妬心」を力に…“ビースト”林大地はU-24のシンデレラボーイとなるか 野心が宿る目と強運に思い出す鈴木隆行

posted2021/06/11 17:03

 
「嫉妬心」を力に…“ビースト”林大地はU-24のシンデレラボーイとなるか 野心が宿る目と強運に思い出す鈴木隆行<Number Web> photograph by AFLO SPORT

がむしゃらに、愚直にゴールを狙う林大地。“最終試験”のジャマイカ戦で再びのアピールなるか

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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 6月5日に行われたU-24ガーナ代表戦で、上田綺世がヘディングで鮮やかなゴールを決めたとき、ベンチの脇でひとり悔しそうにピッチを見つめる選手がいた。

 同じFWの林大地である。

 ポジションを争うライバルのゴールに、複雑な思いを抱いているのは明らかだった。

 こみ上げてくるライバル心――。

 そうした気持ちを、林は隠そうとしない。

「綺世は得点という目に見える結果を残した。自分は出場していない。味方として嬉しいけれど、いい意味で嫉妬しているというか。彼には大学時代からすごく刺激をもらっていたし、すごく嫉妬心が湧いています。それを結果に繋げられるかどうかは、自分次第。いつ出番が来てもいいように、準備し続けたいと思います」

 上田が計算し尽くした動きでボールを呼び込み、冷静に仕留める洗練されたストライカーなのに対し、林は荒削りな面を残しながらも、貪欲にゴールに向かい、怪我を恐れず飛び込んでいくタイプ。"ビースト"の愛称が表すように。

 歴代の日本代表で喩えるなら、中山雅史、鈴木隆行、岡崎慎司の系譜を継ぐ選手だと言える。

「ゴールに向かう推進力や、難しい体勢でもゴールを目指していく力強いプレーを見せたいと思います」

初先発のアルゼンチン戦で久保に伝えたこと

 初めてU-24日本代表に招集された今年3月、林は自身のプレースタイルについて、こんな風に語っている。だが、初先発となった3月29日のU-24アルゼンチン戦の前に久保建英に伝えたという言葉のほうが、より林の特徴を表しているかもしれない。

「僕が前で張って、ガチャガチャやるので、僕の周りをうろちょろしていてほしい、と伝えました」

 そのアルゼンチン戦が、林にとって大きな転機になった。

【次ページ】 堂安の負傷辞退で巡ってきたチャンスを生かして

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