箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「箱根駅伝に出られなかったことが一番悔しかった」 青学大、順大、駒大に次々現れた“下剋上の新勢力”の実力は?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenega
posted2021/06/03 17:04
関東インカレ2部のハーフマラソンで優勝を飾った、青山学院大の西久保遼
順大に山上り候補の1人が?
1部のハーフマラソンで日本人トップの4位に入った四釜峻佑(順大3年)も、青学大の西久保と同様に、これまで大学駅伝で出番がなかった選手だ。昨年はチャンスもあったが、箱根駅伝予選会でチーム最下位の75位に終わり(75位も決して悪い成績ではない)、本選ではエントリーさえも叶わなかった。
四釜は、今年4月に3日間にわたって行われた山形県縦断駅伝競走では、2区間で区間新・区間賞に輝いており、勢いがあった。
1部のレースは留学生3人が飛び出し優勝争いを繰り広げたが、四釜は第2集団でレースを進め、終盤に後続を振り切って日本人1位を勝ち取った。
「まだ箱根駅伝にエントリーすらされたことがないので、今年は走ってチームに貢献したい」
四釜はこう話すが、大きなアピールになった。よみうりランドの特設コースは、アップダウンの激しい周回コースだったが、起伏が得意という四釜には分があった。今年の箱根5区を走った先輩の津田将希(4年)も7位に入賞したが、津田を上回る成績に、早計ではあるが、四釜も山上り候補の1人と見ていいのではないだろうか。
「箱根駅伝に出られなかったことが一番悔しかった」
今回の関東インカレで最大のブレイクを果たしたのは、駒大の唐澤拓海(2年)だった。埼玉・花咲徳栄高時代から全国都道府県対抗駅伝の区間賞などの実績がある選手だったが、大学1年目は「スタミナが全くなかった」と長い距離への移行に苦戦した。箱根駅伝は6区の控えとして16人のエントリーメンバーに入ったが、結局出番はなかった。
「箱根駅伝に出られなかったことが一番悔しかった。その分、絶対に誰にも負けないっていう気持ちで、練習に取り組んでいます」
2月、3月は徹底的に走り込んで、課題のスタミナ強化に努めた。その結果、持ち味のスピードを試合で生かせるようになった。そして、今季は春先からの絶好調を維持し、関東インカレでは2部の5000m、10000mで両種目とも、各校のエース格の選手とハイレベルなレースを展開し、日本人トップの3位を奪った。5000mでは、同級生で1年時から主力として活躍する鈴木芽吹にも競り勝った。
「箱根王者として日本人トップは取らないといけないという思いがありました」
すでに主力としての自覚は十分。田澤廉、鈴木とともに、駅伝でも頼もしい活躍を見せてくれそうだ。