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イチローは“通算.353でランク外”のナゾ…「プロ野球の生涯打率」青木vs柳田の首位打者争い、糸井や坂本、秋山は3割なるか?

posted2021/05/31 17:03

 
イチローは“通算.353でランク外”のナゾ…「プロ野球の生涯打率」青木vs柳田の首位打者争い、糸井や坂本、秋山は3割なるか?<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono/Koji Asakura/Hideki Sugiyama

青木宣親、柳田悠岐らの“生涯打率首位打者争い”とともに、イチローが日本で残した記録にもう一度注目したいところだ

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Tamon Matsuzono/Koji Asakura/Hideki Sugiyama

 2年前の3月21日、東京ドームのアスレチックスvsマリナーズのMLB開幕戦シリーズを最後にイチローが引退したときに、筆者は「せめて1シーズン、NPBでプレーしてほしかった」と思った。

4000打席ならイチローがダントツの「.353」なのに

 それは、あと381打数を加えるとイチローのNPBでの打数が4000に到達し、NPB公式サイトが発表している生涯打率ランキングに載るからだ。仮に打率.200しか打てなかったとしてもイチローの通算打率は.339(4000打数1354安打)となり、その時点での最高打率だった青木宣親の.326を余裕で抜いて1位になるからだ。

 イチローがNPB史上最高の「安打製造機」であることに異論を唱える人は少ないだろう。しかもMLBでも傑出した成績を残し、殿堂入りは確実と言われる。彼が「生涯打率1位」であるべきだと思う人は多いだろう。

 以前も記したが、そもそもNPBの生涯打率は「打数」で線引きをしている。ところがシーズン打率は打数ではなくこれに四死球や犠飛、犠打などを加えた「打席」で算定している。規定打席4000であれば、4098打席のイチローはすでにクリアして、通算打率.353でダントツの1位に君臨していたはずだ。どこかのタイミングで是正してほしいと思う。

リーに代わって“首位打者”に躍り出た青木

 プロ野球生涯打率の争いは、ペナントレースほど目まぐるしくはないが、それでも日々動いている。

 NPBの生涯打率は1984年に若松勉が張本勲を抜いて1位になったが、1985年に4000打数に達したレロン・リーがこれを抜き、1987年限りで引退したリーが打率.320で1位をずっとキープしてきた。

 しかし、2018年にMLBからヤクルトに復帰した青木宣親がこの年に4000打数に達し、33年ぶりに首位打者交代となった。

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