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イチローは“通算.353でランク外”のナゾ…「プロ野球の生涯打率」青木vs柳田の首位打者争い、糸井や坂本、秋山は3割なるか? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byTamon Matsuzono/Koji Asakura/Hideki Sugiyama

posted2021/05/31 17:03

イチローは“通算.353でランク外”のナゾ…「プロ野球の生涯打率」青木vs柳田の首位打者争い、糸井や坂本、秋山は3割なるか?<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono/Koji Asakura/Hideki Sugiyama

青木宣親、柳田悠岐らの“生涯打率首位打者争い”とともに、イチローが日本で残した記録にもう一度注目したいところだ

 ミスタータイガース、藤村富美男は1956年にいったん引退。1958年に現役に復帰したが、マネージャーから「これ以上打席に立つと生涯打率が3割を切ってしまう」と聞かされて現役引退を決意したという。

 また1980年に引退したNPB史上最強打者、王貞治も生涯打率は.301であり、打率3割をキープすることが決断の一因になったとも言われている。

“生涯打率3割”が狙える現役打者の面々を見てみる

 さて、打数4000以上で、現時点で生涯打率が3割前後の現役打者を見てみよう。順位は生涯打率順位。

19 内川聖一 .3027 (2001-現役)7188打数2176安打
20 谷沢健一 .3024 (1970-1986)6818打数2062安打
21 前田智徳 .3023 (1990-2013)7008打数2119安打
22 王貞治 .3011 (1959-1980)9250打数2786安打
23 ラミレス .3006 (2001-2013)6708打数2017安打
24 秋山翔吾 .3005 (2011-2019)4674打数1405安打
25 糸井嘉男 .3001 (2007-現役)5677打数1704安打
26 藤村富美男 .2999 (1936-1958)5648打数1694安打

36 中島宏之 .2945 (2002-現役)6331打数1865安打
39 坂本勇人 .2924 (2007-現役)6979打数2041安打

 ヤクルトの内川聖一は数年前まで、右打者最高打率のブーマーの.317に迫るのではないかという期待があったが、打率3割は2016年の.304が最後。出場機会も減っている。右打者では10人いる3割をキープできるかどうかという状況にある。

 現在MLBレッズの秋山翔吾はNPBでは.301を記録している。MLBで現役を終えればこれがNPBの生涯打率となるが、青木宣親のようにNPBに復帰して再びキャリアをリスタートさせるとすれば、生涯打率3割が気になってくることだろう。

 阪神の糸井嘉男は現時点で3割ちょうど。阪神の大先輩・藤村と同じ状況だ。今年は代打での登場が多い糸井だが、交流戦ではスタメンでも出場して27打数8安打、.296と奮闘している。しかし仮に糸井のシーズンの打数が100だとすると、今後73打数21安打、打率.288のペースで辛うじて3割(.29965)をキープすることになる。これを見てもわかるようにキャリア晩年になって3割をキープするのは至難の業だ。

【次ページ】 巨人の中島、3000安打も狙える坂本勇人はどんな状況?

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