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風間八宏に聞く「高校サッカーのロングスロー問題、どう見てました?」「日本で論争すること自体が論外だね」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKYODO
posted2021/05/16 17:03
今年の高校サッカー選手権決勝。青森山田のロングスローのシーン
「海外へ行っちゃうと思います。実際、中2のときにブラジルのチームから誘われたんですよ。
ブラジルのプロチームが静岡に試合に来て、中学生を指導してくれる機会が設けられた。ドリブルからシュートを打つメニューのとき、私は指示されたのとは違うフェイントで抜き続けたんですね。言われた通りにやるのはつまらないので。
そうしたら練習後に呼ばれ、ブラジルへ来てくれと。当時、私の目標は高校選手権だったので、『高校選手権に出たいからブラジルへは行けません』と断った。
まあ、今はFIFAのルールで18歳未満の国際移籍は禁止されているので、現実には海外へ行くことはできませんが」
では、国内限定ならどこを選ぶか?
「家からの近さで選んだと思います。最終的に自分がうまくなったのは、自主トレだと思っているので。仮にバスで1時間かかるようなチームだと、自主トレの時間が減ってしまう。やはり実家から自転車で10分の清水商業を選ぶと思います」
「現状維持だったら、明日キャリアが終わる」
自主トレ――。風間の攻撃サッカーを語る上で、意外に見落とされているキーワードかもしれない。
川崎でも名古屋グランパスでも、風間はチーム練習を1時間強に留め、自主トレの時間を長く取っていた。選手たちがピッチに残り、「止める・蹴る」の練習をするのがお馴染みの光景になっていた。
「自主トレが大事というのは当たり前の話です。チーム練習で何回ボールに触るのかって話ですから。
自主トレの時間は、指図をされずに自分でやる。そうすると、自分と向き合うし、何が必要かを考える。なおかつ敵と戦うことを考えるんですよ。そこで知恵が生まれる。
チーム練習をやって終わりなら、それ以上伸びない。プロは現状維持だったら、明日キャリアが終わる。自分で考えて、差をつけなきゃいけません」
石ころがベッケンバウアーになった
風間が通っていた小学校にはナイター設備があり、午後7時半までボールを蹴ることができた。さらに帰宅して夕飯を食べたあとも、自宅前の神社で自主トレをした。