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「なぜJリーグより下のクラブに行く必要が…」安易な海外移籍に憤っていたミキッチの真意とは【浅野拓磨の退団問題】

posted2021/05/03 18:00

 
「なぜJリーグより下のクラブに行く必要が…」安易な海外移籍に憤っていたミキッチの真意とは【浅野拓磨の退団問題】<Number Web> photograph by Getty Images

2012年、海外移籍の懸念を口にしていたミキッチ

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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Getty Images

日本代表にも名を連ねる浅野拓磨のパルチザン電撃退団に、波紋が広がっています。いわゆる4大リーグ以外の欧州各国に移籍する選手が増えた一方で、2012年にサンフレッチェ広島に所属していたミハイル・ミキッチが現在の状況を予見したかのような“懸念”を語っていました。その記事を再公開します(初公開:2012年4月10日)

 今、Jリーグにとって最も悩ましい問題のひとつは、若手のヨーロッパ流出だろう。2010年W杯以降、香川真司、内田篤人、宇佐美貴史、大津祐樹といったリーグの見所となりうるタレントたちが次々と日本を離れ、この夏もセレッソ大阪の清武弘嗣や柏レイソルの酒井宏樹の海外移籍が噂されている。

 ドイツに6年間住んだ経験がある筆者としては、リスクを冒して移籍する若手選手たちの気持ちがわかる気がする。Jリーグである程度の結果を出せば未知の世界で力を試したいと思うのが自然だし、言葉も通じない異文化に飛び込むことで価値観が変わって劇的な成長を遂げることがある。個人的には「海外移籍・推奨派」だ。

 ただし、サッカーのプレーに絶対的な正解がないように、移籍に関してもいろんな価値観に耳を傾けておくことは決してマイナスにはならないだろう。今、こういう日本の若手のスタンスに対して、真っ向から異を唱える人物がいる。サンフレッチェ広島のミハエル・ミキッチだ。

「なぜJリーグより下のクラブに行く必要があるのか」

 ミキッチは元クロアチア代表のMFで、ディナモ・ザグレブやドイツのカイザースラウテルンで活躍し、2009年1月に広島に加入した。Jリーグの外国人枠をブラジルと韓国の出身者が大半を占める中、ミキッチは今季で4シーズン目に突入したJ1の最古参ヨーロッパ人選手。第4節のFC東京戦では右サイドをドリブルで突破して鋭いクロスから佐藤寿人の決勝ゴールをアシストしたように、実力的にもJリーグを代表する“助っ人”だ。

 ミキッチは日本の若手たちに、大きな憤りを覚えていた。

「Jリーグのレベルは高いのに、なぜ日本の若い選手たちは外国のリーグに行きたがるのか? その理由がまったくわからないんだ。こんなに素晴らしいスタジアムとサポーターの雰囲気があって、さらにパーフェクトな運営がなされている。プレーの質も高い。それなのに、なぜJリーグより下のクラブに行く必要があるんだろう」

 よほど納得できないのだろう。まるで試合中かのようなハイテンションで、ミックスゾーンで両手を広げながらミキッチは話し続けた。

【次ページ】 現実を知るからこそ、無条件の海外志向に異を唱える

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