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【フェルスタッペン今季初優勝】セナが見守るイモラでホンダが30年ぶりの勝利 完勝で加速するタイトルへの期待感
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2021/04/20 11:02
ウェットスタートの難しいコンディションを制し、ホンダに今季初優勝をもたらしたのは、エースのフェルスタッペンだった
しかし、91年以来、30年ぶりとなるイモラでの勝利は、ホンダにとって単なる1勝以上の価値のあるものだったことは間違いない。それは今回の勝利が開幕2戦目だったからだ。
91年を最後にタイトルから遠ざかっているホンダは、その後も勝利を挙げてはいるものの、多くはシーズン中盤から後半だった。例外は92年の6戦目と2020年5戦目のシーズン初勝利だが、いずれもライバル勢のトラブルや失速によって転がり込んだ勝利だった。
それに対して、今シーズンは開幕戦でポールポジションを獲得し、2戦目のイモラも予選で激しいポールポジション争いを展開した末の2番手と3番手だった。レースではスタートでトップに立ったフェルスタッペンが安定した走りで逃げ、2位ルイス・ハミルトンに22秒の差をつけての完勝だった。
タイトルを賭けて戦うシーズン
レース後、田辺TDはこう語って、30年ぶりのイモラでの優勝を喜んだ。
「まだ2戦を終えたところですが、いい戦いができていることをうれしく思います。2戦目での優勝はモチベーションを上げてくれます」
その言葉には、いまのホンダにはメルセデスと互角に戦う力があり、それはすなわちタイトルを賭けた戦いを演じるという意味が隠されているように感じた。
この日の勝利は、ホンダにとって79勝目となった。タンブレロに散ったセナも、復活したホンダ・パワーを天から微笑みながら見ていたに違いない。