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日本GPは鈴鹿で開催できるのか? 角田裕毅がデビュー戦入賞したバーレーンGPに学ぶ、ニューノーマルなレース運営とは

posted2021/04/08 17:01

 
日本GPは鈴鹿で開催できるのか? 角田裕毅がデビュー戦入賞したバーレーンGPに学ぶ、ニューノーマルなレース運営とは<Number Web> photograph by Getty Images

開幕戦バーレーンGPで9位入賞を果たした角田裕毅。日本人ドライバーがデビュー戦で入賞したのは史上初

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 昨年、レース関係者が新型コロナに感染したことによって、セッション開始直前に開催を中止するという前代未聞の決定を下したF1。それから、約1年後に開催された21年の開幕戦バーレーンGPは、あの日の混乱が嘘のように、落ち着いた雰囲気の中で行われた。

 それは、1年前の出来事を教訓にして、コロナ禍でもF1を開催していくための対策を施していたからだ。そのひとつが、チームスタッフだけでなく、レース運営者(FIA、サーキット関係者)やメディアなど、サーキットに入場する者すべてに対して、定期的なPCR検査を義務付けていることだ。検査場もチームごとに設け、別のチームのスタッフ同士が極力接触しないような工夫がなされている。こうすることで予防線とし、陽性者が出た場合に濃厚接触者が特定できる。

 200名以上が仕事していたメディアセンターも大きく様変わりした。これまではひとつの大きなテーブルを、複数の記者やカメラマンたちが肩を寄せ合い、額を合わせるようにして共有していたのだが、現在テーブルは小型化され、1人ずつ単独で使用している。しかも、すべてのテーブルが同じ方向を向き、記者同士が対面しないようになっている。

開幕戦に見た、今季F1のニューノーマル

 このような厳しい感染対策とともに、F1はニューノーマルも積極的に採り入れている。たとえばブルペン(柵)の誕生だ。昨年のF1では、ジャーナリストはメディアセンターの外で取材できなかった。今年はメディアセンターの脇に柵を設置し、その柵越しにドライバーやチーム関係者に直接、取材できる場所が用意された。

 バーレーンはそもそも入国時に全員がPCR検査を受けており、陰性でなければサーキットに入場することはできない。柵は2重に立てられ、飛沫を受けないよう距離が保たれている。もちろん、取材の際にお互いがマスクを着用していることは言うまでもない。

 さらに昨年バーレーンで開催された2つのグランプリでは、医療従事者やファースト・レスポンダー(事故や災害時の第1応答者で、警察・消防のスタッフ)とその家族のみが入場することができたが、一般の観客用のチケットは販売しなかった。それが今年は条件付きながら、チケットを販売した。

 その条件とは、新型コロナに感染して回復後、2週間以上が経過している者か、2回目のワクチン接種を終えてから2週間以上経っている者だ。これにより、今年の開幕戦のスタンドには4500人のファンが入場できた。

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