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内田篤人vs長友佑都、CL4強を懸けた最高峰の日本人対決から10年…欧州に挑戦する後輩たちに内田が“必要”と感じたこととは
text by
内田知宏(スポーツ報知)Tomohiro Uchida
photograph byGetty Images
posted2021/04/13 17:50
CL4強を懸けた日本人対決から10年。性格もプレースタイルも対照的な2人が世界最高峰の舞台で対峙した
長友についてはこれまで多くを語ってこなかった。
取材メモに残っているのは「上下動の回数で勝負するタイプ」という評価と「その動きを見て、自分はバランスを取る」という自身への言葉。長友の発言が「暑苦しい」やら「よくしゃべる」などいじるものが多かった。
ただ、同じサイドバックとして意識していなかったかと言われれば、そうではないと断言できる。
どちらが優れているかという見方ではない。上下動を繰り返し、サイドバックらしいサイドバックが長友だとすると、内田はゲームメークや攻撃のスイッチを入れるまったく違うタイプのサイドバック。過去や横と比べて「違っていい。違った方が強いチームができる」という考えを持つ内田は、長友の存在で自分の特長を極めていく覚悟をより強く持ったように感じる。コメントはより冷静に、闘志は内向きに。内田スタイルの完成に長友が影響したように映る。
「サッカーをもっと知ってほしい」
あの日から10年。33歳になった内田はすでに現役を引退。時の流れを感じさせる一方で、34歳の長友はフランスリーグのマルセイユではつらつとしたプレーを見せ、まだ10年と思わせてくれる。Jクラブが人材不足で困る時代が続く中、日本代表のサイドバックは長らく安泰の時代が続いた。CL8強に進んだ両クラブのサイドバックを2人の日本人が務め、そのうちの1人は別世界と言われるCL4強の世界を体感した。
2人の背中を追うように、近年では数多くの若き日本人選手が、欧州へ活躍の舞台を移している。しかし現役晩年、内田はこう語っている。
「日本人はうまくなったと思う。でも、欧州にはうまい選手はたくさんいる。日本人選手には、サッカーをもっと知ってほしい」
練習で技術的な部分を鍛えるのは、もちろん大切。その上で、欧州で活躍するためには、どうすれば相手が嫌がるか、自分たちの問題を解消するためには何が必要かを、試合中に判断できなければならない。
「そのうち、すぐ出てきますよ」の言葉から10年を経て、CL準決勝以降のピッチに立った日本人選手は、まだ内田しかいない――。
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