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「破産寸前の無一文」だったドルトムント、「会長が優勝を祝うのも嫌がった」銀河系レアル… 暗黒期の真相とは

posted2021/04/14 17:00

 
「破産寸前の無一文」だったドルトムント、「会長が優勝を祝うのも嫌がった」銀河系レアル… 暗黒期の真相とは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

豪華陣容だった“銀河系軍団”時のマドリーだが、ペレス会長との軋轢は絶えなかったようだ

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NumberWeb編集部

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Takuya Sugiyama

雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回はチャンピオンズリーグ出場4クラブにまつわる言葉を懐かしの写真とともに振り返ります。

<名言1>
我々は破産寸前でした。無一文の状況で、3000万ユーロの選手を獲得するなんて言えません(笑)。ドルトムントの売り上げが4億ユーロになると誰が予想したでしょう?
(ハンス・ヨアヒム・ヴァツケ/NumberWeb 2017年7月22日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/828505

◇解説◇
 2010年代初頭、香川真司の大活躍によって、ドルトムントは日本のサッカーファンにとってなじみ深いクラブとなった。コロナ前は8万人を収容するホームスタジアムが熱狂的な雰囲気を作り出し、ユルゲン・クロップ監督体制では香川だけでなくレバンドフスキ、フンメルス、ゲッツェらといった若き才能が台頭。絶対王者バイエルンから覇権を奪うなど、一躍ビッグクラブの仲間入りを果たした。

 1996-97シーズンのチャンピオンズリーグでユベントスを下して優勝経験もある名門クラブだが、2000年代中盤は“暗黒時代”だった。ロシツキーや200cmを超えるコラー、かつてJリーグに在籍経験のあるアモローゾらを獲得したものの、株式を上場した経営戦略が失敗し、巨額の損失を抱えたのだ。

 同じ時期にはリーズ、フィオレンティーナといったクラブが経営破綻し、下部リーグ降格を余儀なくされた。ドルトムントも同じ道のりを歩んでもおかしくなかったが、ここで立て直したのはCEOに就任したヴァツケ氏らの打ち出した指針だった。ロシツキーをアーセナルに売却するなど育成重視に舵を切ると、2008年にはマインツで結果を残したクロップ監督を招聘した。

「成功の目指し方はクラブによって違います。投資をしてスター選手を獲得し、タイトルを取る。それがレアル・マドリーのやり方ですね。ドルトムントは、大きな資質を持った選手、たとえばデンベレ、プリシッチ、そして香川真司のような選手を獲って成長させる」

 前述した通り、この考え方がドルトムントを再び強くしたことは間違いない。“目の上のタンコブ”であるバイエルンから主力の引き抜きに何度もあい、20-21シーズンのブンデスリーガでは来季CL出場権へギリギリの戦いが続いている。とはいえ、希望は多い。

 ハーランド、サンチョ、ムココ、ナウフらといった近未来のワールドクラス、そしてフンメルスやロイスらが支えるチームの骨格からは、ドルトムントが貫く哲学を強く感じるからだ。

【次ページ】 マンCは3部にまで転落していた

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