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内田篤人vs長友佑都、CL4強を懸けた最高峰の日本人対決から10年…欧州に挑戦する後輩たちに内田が“必要”と感じたこととは
text by
内田知宏(スポーツ報知)Tomohiro Uchida
photograph byGetty Images
posted2021/04/13 17:50
CL4強を懸けた日本人対決から10年。性格もプレースタイルも対照的な2人が世界最高峰の舞台で対峙した
2010年6月、シャルケ移籍が大筋合意に至った。
「お世話になった人に(シャルケ)移籍を報告したら、みんなからCLに出られて、いいなぁって言われる。あまり(海外)サッカーを見ないから、よくわからないけど、みんながそう言うんだから、良い大会なんだろうね」
ピッチから離れれば、サッカーとは無縁の生活を送る。世界的に有名な選手名は耳に残っていたとしても、特徴までは及ばない。海外サッカーに明るい長友とは対照的。その内田がCLを通じて変わった。
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「(CLで)勝っていくと幸せ。サッカーはあまり好きじゃないけど、この半年間、楽しかった。ちょっとサッカーを好きになった時期もあったし。この半年くらい、朝起きて歯磨きしながら、ずっとこの大会を意識しながら生活できたのは、かなり楽しかった。濃かった。刺激が欲しくてドイツに来たけど、本当に良かった。(サッカーは)ゲームでもしないし、日常からサッカーは見ない方だけど、こういう舞台ではあまり知らなかったことが、(先入観なくプレーできて)逆に良かったのかな。ただ、こういう選手とやるんだなと思うと、映像は見るようになった。CLに出るために練習して、リーグ戦を戦っている。CLが中心になった」
インテルのアルゼンチン代表DFサネッティとマッチアップしても、普段通りのプレーができた。自分の形に持ちこむオランダ代表MFスナイデルを「すげえ」と感じ、「もう一人の名前は分からないけど、速かったから気を付けた」と、同じくアルゼンチン代表FWミリトも自由にさせなかった。
ユース年代から日本代表に名を連ねていたが、すべてを注がなければ通じない世界があることを肌身で感じた。また、不自由さが刺激となり、それを乗り越えたときの喜びは格別であることを知った。
メディアの論調も変わった
この試合を境にして内田の守備を批判する声は減り、メディアの論調も変わった。
もともと「もし俺を攻撃的な選手だと思っている人がいるならば、サッカーをよく見ていない人」という考えを持っている通り、同じ日本人選手と守備面を比較して、そこまで不安視されるようなものではないように見えた。
鹿島ではディフェンスの意識が高く、それがJリーグ3連覇という結果にも表れていた。CL準々決勝で結果を残したことで、守備面も評価されたと当時に、闘志を内に秘めるタイプであることも伝わり、ひょうひょうとしたコメントの受け止められ方も変わっていった。