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【桜花賞】白毛馬初の偉業を遂げたソダシは“2つのテーマ”をクリアした 「話題性だけと見られていたので…」
posted2021/04/12 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
白毛馬が無敗でクラシックを制する日が来ることを、10年、20年前は、どれだけの人が思い描いただろう。そんな夢物語が、この春、現実になった。
第81回桜花賞(4月11日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)で、吉田隼人が騎乗する2番人気のソダシ(父クロフネ、栗東・須貝尚介厩舎)が優勝。土つかずの5戦5勝で、白毛馬初のクラシック制覇をなし遂げた。
“名馬は自分で体をつくる”をやってのけた
ソダシのレースは、どれも感動的だ。それはこの馬が、必ず、私たちが期待していた以上の強さを見せてくれるからだろう。
今回は、「走る」ということ以外でも、競走馬に求められるテーマをクリアし、トータルな意味で強くなった姿を見せてくれた。
そのひとつは、4カ月ぶりの実戦でありながら、力を出せる状態に仕上がっていたことだ。須貝調教師は、もう少し体が増えると思っていたようだが、当日は増減なしの472kg。名馬は自分で体をつくると言われており、3歳春の時点でそれをやってのけた。
もうひとつは、課題とされていたゲート入りだ。今回はゲートに先入れとなったのだが、スムーズに中に入り、他馬が入るまで待たされてもじっとしていた。陣営が、中間、念入りにゲート練習を繰り返した成果であると同時に、自身の学習能力の高さを示すことになった。
ソダシは、内目の4番枠からハナを切れそうなほど速いスタートを切った。同じくポンとゲートを出た6番のストゥーティを先に行かせ、2、3番手の内につけた。吉田はこう振り返る。
「(返し馬で)馬場に入ってからゲートに向かって行くときも、あまりイヤイヤをしませんでした。ゲート裏で輪乗りをしているときの雰囲気も、この間(阪神JF)よりよかった。厩舎スタッフのおかげで、いい感じで挑めました」