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日本GPは鈴鹿で開催できるのか? 角田裕毅がデビュー戦入賞したバーレーンGPに学ぶ、ニューノーマルなレース運営とは
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2021/04/08 17:01
開幕戦バーレーンGPで9位入賞を果たした角田裕毅。日本人ドライバーがデビュー戦で入賞したのは史上初
バーレーン・インターナショナル・サーキットのアリフ・ラーヒミ会長は、次のように今年の開幕戦を振り返った。
「チーム・バーレーンが、この4カ月間に4つのF1イベント(20年バーレーンGP、サクヒールGP、21年プレシーズンテスト、バーレーンGP)を開催するという偉業を成し遂げたことを大変誇りに思う。これを実現できたのは、世界的に見ても困難な状況の中で、このような大きなイベントを開催するために、政府内の多くの関係者が献身的に協力してくれたおかげだ。特に、保健省から受けた指導と支援により、これらのイベントを安全に運営することができ、4500人のファンを迎え入れることができた」
そのファンの前で、衝撃的なF1デビューを果たしたのが、角田裕毅だ。
「最初の周で、他車と接触してフロントウイングとかを痛めないよう、少しディフェンシブになって、あまりアグレッシブな走りができなかった」と言う角田は、スタート直後に15番手まで順位を落としたものの、その後、セバスチャン・ベッテル、フェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンの元王者3人をオーバーテークするなどして、実力で9位入賞をもぎ取った。日本人F1ドライバーがデビュー戦でいきなり入賞したのは、今回の角田が初という快挙だった。
ホンダのラストイヤーを鈴鹿で
その角田が「ダントツで鈴鹿!!」と今年最も楽しみにしているグランプリだと語るのが、F1ドライバーとなって初めての凱旋となる日本GPだ。昨年、F1はヨーロッパと中東以外の多くのグランプリが中止となり、日本GPも開催されなかった。今年は10月8日から10日までの3日間を予定しているが、新型コロナの状況が見通せず、ヨーロッパラウンド以降は不透明な状態となっている。
今年の日本GPは、ホンダにとってもF1ラストイヤーとなる特別なグランプリ。山本雅史(マネージングディレクター)も「コロナ禍で観客などがどうなるのかはわかりませんが、ファンの皆さんのために一人でも多くのお客さんを入れたいと考えています。その実現に向けて、モビリティランド(鈴鹿サーキットの運営会社)とホンダが一致団結して、ファンの皆さんの期待に応えられるよう最大限の努力をします」と熱が入る。
私たちはいまもなお、新型コロナウイルスと戦い続けている。一方で私たちはこのウイルスと1年以上戦ってきて、少しずつその正体も見えてきた。油断してはいけない。しかし、何もできないわけではない。21年の開幕戦は、その良き手本となる一戦だったように思う。