ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
2年連続Bクラス、順位予想も「近年でワースト」… 舞台裏で見守るファイターズ広報が信じる「心が躍る要素」とは
posted2021/04/02 11:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
KYODO
探しても、探しても、心躍るような要素を見つけることができなかった。北海道日本ハムファイターズの2021年は険しく、厳しい戦いになるのだろう。
今シーズンの開幕を3月26日、遠征先の仙台で迎えた。節目の決戦に備えてその3日前に、チーム本隊とともに敵地へ入った。
宿舎ホテルの自室には、広報という仕事柄、新聞各紙を用意してもらっている。起床して、それら朝刊紙にゆっくりと目を通すのがルーティンである。
毎年この時期、個人的に楽しみにしている企画がある。
スポーツ紙各紙、また様々な媒体で、大々的に展開される今シーズンの順位予想である。球界OBの評論家の方々を中心とした識者が、それぞれの見解でセ・パ両リーグ、各チームの戦力を分析して占う。1位~6位までを、戦前に格付けするのである。
北海道日本ハムファイターズは、大半の方々から5位以下に据えられていた。ただ球団OBの一部はAクラスに配してもいた。チームの動向を注視しているからこその評価なのか、それとも古巣への強い思い入れ、期待値を込めての予想なのかは、ヒアリングをしていないので不明である。各紙ともにOBは古巣への評価が、少し甘いようには映る。もしかしたら「配慮」もあるのかもしれない。
それでも総合的にはファイターズは下位に低迷するとの見方が圧倒的で、大勢を占めていた。仙台の春風は、少し冷たかった。
春季キャンプを入念に視察していた梨田氏
退任後も優しく、温かい視点で見守り、進言をいただくことが多いファイターズ前監督の梨田昌孝氏でさえも最下位に予想していた。2月の沖縄での春季キャンプを入念に視察し、栗山英樹監督らを熱心に取材していた。私も雑談させていただく機会があったが、的確で鋭い指摘もあり、感服するほどチームの事情も詳細に把握していた。
その上でのジャッジなのだから、好転しそうな芽は少ないと見ているのだろう。その他、キャンプを戦力チェックのために来訪した評論家の方々も同様の評価をしているということは、他球団とも比較して分析した上での妥当な予想なのだと考える。