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佐々岡カープの勝負手が今季は早そう… 開幕戦の大瀬良降板→逆転負けを教訓に、期待したい“若き中継ぎ陣”の台頭
posted2021/04/02 06:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Sankei Shimbun
忘れ物や落とし物などのミスは、いつもとは違う行動をするときに起きやすいという。
26日に開幕したプロ野球のペナントレースは、例年とは異なる采配が求められそうだ。今季は延長戦を行わず、9回打ち切りとなる中で、セ・リーグは開幕カード9試合ですでに2試合が引き分けとなった。広島も開幕3戦目を引き分けており、本拠地に中日を迎えた開幕カードを1勝1敗1分でスタートした。
この3試合で唯一の黒星となった開幕戦は、昨季の戦いを引きずったような敗戦だった。
延長戦を想定した戦い方は、プロ野球では習慣づいたものと言えるだろう。12球団の指揮官は常に延長戦を頭に入れながら勝つための采配をし、負傷交代などアクシデントのリスクも考えながらタクトを振っている。
だが今季は、延長戦がない。9回で終わる。いつもとは違うのだ。その中で開幕戦の広島は、"いつもの野球"を引きずっていた印象が強い。
大瀬良の8回続投は自然な流れと思われたが
この試合、広島は7回まで4-0とリードしていた。3年連続開幕投手の大瀬良大地は省エネ投球で、球数はこの時点でまだ67球。右肘クリーニング手術明けとはいえ、エースから若い中継ぎ陣につなぐのはまだ早いと思われた。大瀬良の8回続投は自然な流れ。だが、その回に落とし穴が待っていた。
初の長打を浴びて一死満塁とすると、阿部寿樹の左翼前適時打に左翼・松山竜平の失策も重なり2失点。その後、細かな継投でピンチを脱しようとするも、3番手ケムナ誠がビシエドに逆転2ランを浴びたのだった。
大瀬良が粘り切れなかったからか、それとも中継ぎ陣の若さゆえか。どちらも正解かもしれないし、どちらも不正解かもしれない。ただ、はっきりとした流れの変わり目はあった。前述した松山の守備である。