Jをめぐる冒険BACK NUMBER
新生リカルド浦和、“白紙からの定位置争い”が新鮮 キャンプで見えた独自性と激戦区は…【開幕予想布陣つき】
posted2021/02/10 06:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
URAWA REDS
打たれたシュートは30本近く――。1-4の完敗だった。2月7日に北海道コンサドーレ札幌と45分×3本のトレーニングマッチを行なった浦和レッズのことである。
前線からのプレスは空転し、守備ブロックを敷いても綻びを見出され、シュートまで持ち込まれてしまう。自陣から攻撃を組み立てようにも、ハイプレスを浴び、ボールを運ばせてもらえない。
ピッチ上で選手たちは混乱し、ミスがミスを呼ぶ悪循環――。
だが、それも仕方のないことだろう。ミハイロ・ペトロヴィッチ体制4年目を迎える札幌に対し、浦和はリカルド・ロドリゲス体制がスタートしたばかり。継続性や積み上げにおいては文字通り、札幌に一日の長がある。
しかも札幌は、ポジショニングのギャップを利用して相手を嫌がらせるのがうまいチーム。浦和としては、自分たちのやりたいことをまんまとやられてしまった。
西川「やろうとするサッカーを頭の中に」
「リカルド監督のやろうとするサッカーが頭の中に叩き込まれたキャンプでした。そのなかでJ2(1日の水戸ホーリーホック戦)、J1(4日のサガン鳥栖戦、7日の札幌戦)のチームとトレーニングマッチを行ない、相手のレベルが上がるにつれて課題が出た」
西川周作は約2週間にわたる沖縄キャンプをこう振り返ったが、改善点の洗い出しこそ、プレシーズンにおける重要な作業。指揮官には、札幌に圧倒されることが織り込み済みだったに違いない。
徳島ヴォルティスから浦和の指揮官に転身したスペイン人監督のスタイルは、立ち位置のズレで優位に立ってボールを動かし、主導権を握ってゲームを進める“ポジショナルプレー”だ。ペップ・グアルディオラがマンチェスター・シティで披露してきたものに近い。
その枠組のなかで特に強調されているのが、次の3点である。