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「絶対に許せない」OBにさえ噛みつくほどヤンチャだった五郎丸歩 早大時代に“一目置いていた同級生”とは

posted2021/02/08 11:02

 
「絶対に許せない」OBにさえ噛みつくほどヤンチャだった五郎丸歩 早大時代に“一目置いていた同級生”とは<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

2007年度の大学選手権決勝で勝利し、第二部歌「荒ぶる」を歌う(右から)五郎丸、畠山、権丈。主将を務めた権丈は、副将・五郎丸との闘いにも頭を悩ませていた

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高川武将

高川武将Takeyuki Takagawa

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Tamon Matsuzono

 2007年度の早大ラグビー部主将だった権丈太郎は今、母校でアシスタントコーチを務めている。学生にこんなことを言われ、あ然とすることがあるという。

「権丈さんの代は五郎丸(歩)さんがキャプテンだったんですよね」

 五郎丸は主将ではなく副将だった。

 権丈組が「荒ぶる」を獲ってから13年が経っている。とはいえ、当時の常勝軍団に憧れて入学してきた学生でさえそうなのだから、一般のラグビーファンにも、15年W杯で大活躍した五郎丸が主将だったと思っている人は多いのではないだろうか。

「怖い存在でした」なぜ五郎丸が主将ではなかったのか

 早大の主将は、新4年生の投票と前年度の4年生の意見を踏まえ、最終的に監督が決める。この年は、投票で権丈と五郎丸が約半数ずつとなり、最後は中竹竜二監督が「FW中心のチームになる」という理由で、LOの権丈を主将に指名した。

 ただ、早稲田の主将といえば、強烈なカリスマ性でチームをけん引するタイプを連想する。その点では、五郎丸が主将になっていてもおかしくはなかった。

 1年時からFBのレギュラーに定着し、2年からは日本代表でもプレー。すでにスター的存在であり、そのプレーぶりは荒々しく、やんちゃ坊主のような風貌からはふてぶてしいオーラさえ放っていた。練習中から常に全力を出し、先輩に対しても物おじせずに意見を言い、BKの監督的役割を担っていた彼には、強烈なカリスマ性があった。

「下級生だけでなく、同級生から見ても、怖い存在でした。容易に話しかけられない。五郎丸には皆、あまり物を言えなかった」と主務を務めていた左京知久は回想する。

「うるせぇ!」とか言われて、敗退してました(笑)

 だが、そんな五郎丸に物を言う人間が一人だけいた。もちろん、主将の権丈である。同じ九州の高校出身(権丈は福岡、五郎丸は佐賀)で、普段は仲のよかった二人だが、「あること」については、何度もぶつかった。権丈が振り返る。

【次ページ】 「こういう人間もいるんだ」

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