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なぜ卓球界には“スーパー小中学生”が続出するのか 年上選手に「健闘した」では許されない厳しい事情とは
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2021/01/28 06:01
卓球全日本選手権男子シングルスに出場した松島輝空。卓球界で小中学生が活躍することには重要な意味がある
年上の選手に敗れて「健闘した」では将来は厳しい
あらためて振り返ると、日本代表としてオリンピックや世界選手権などで華々しい活躍を続けた選手たちは、一様に早い時期に頭角を現していたことが分かる。
高校生や大学生、あるいは社会人になって台頭した例はまずない。
それはつまり、小中学生の頃に注目される成績を残せる選手でなければ、のちのち日本代表として活躍する将来が見えにくくなることを意味している。
年上の選手と戦って、いい試合をして敗れても「健闘した」と言って済ませているわけにはいかないのも卓球の世界と言える。
松島や張本らは、全日本選手権の一般の部でもジュニアでも、敗れれば、心底悔しがった。「胸を借りている」意識など、みじんもなかった。
今、どれだけ結果を出せる選手であるかが将来を左右すること、そして自らが厳しい競争の世界にすでに身を投じていることを熟知しているようだった。