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なぜ卓球界には“スーパー小中学生”が続出するのか 年上選手に「健闘した」では許されない厳しい事情とは
posted2021/01/28 06:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
先日、卓球の全日本選手権が終了した。男子は及川瑞基が初優勝、女子は石川佳純が決勝で伊藤美誠と対戦し、1-3からの逆転勝ちで5年ぶり5度目の優勝を飾った。
みどころの多い大会だったが、大会前から注目を集めていたのが若い選手がどこまで結果を出せるかだった。特に、男子は中学1年生の松島輝空、女子は小学6年生の張本美和に期待が集まっていた。
松島はジュニアで準々決勝敗退、一般の部では3回戦で敗退。張本はジュニアは4回戦敗退、一般では2回戦で敗退という成績を残した。
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本人たちは悔しさを見せたが、他の競技を照らし合わせつつ考えればすごいことだ。中学1年生や小学6年生が社会人や大学生に混ざって同じ大会で戦うのだ。ジュニアにしても、高校2年生までが参加する中での成績だ。対戦型の競技では、なかなか目にすることができない。
福原愛が日本代表に初めて選ばれたのは小学6年生のとき
これは今回に限ったことではない。これまでも卓球では小中学生が大人と競い、好成績を残すケースが頻出している。
福原愛が日本代表に初めて選ばれたのは小学6年生のときだったし、石川は中学2年生のときの全日本選手権一般の部で、史上最年少でのベスト4入りをしている。
伊藤と平野美宇も早くから先輩選手と伍して戦っていたが、2人の金字塔は2014年3月のドイツオープンでの優勝だ。伊藤も平野もこのとき中学1年生で13歳、両者を合わせた年齢は27歳145日で史上最年少優勝記録としてギネスの世界記録にも認定された。
日本を代表する選手たちは皆、早くから年上の選手に臆することなく戦い、成績をあげてきた。
卓球ならではとも言えるが、ではなぜ、小学生や中学生が一般の中で戦えるのか。
選手育成事業「エリートアカデミー」で指導にあたる方などにその理由を聞いたことがある。