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不遇の久保建英“3戦連続出番なし” それでもエメリが評価した「久保だからできる仕事」とは?
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/12/30 17:11
開幕からここまラ・リーガでは13試合出場で、得点、アシストともに記録していない久保建英
さらに、一時期戦列を離れていたモイ・ゴメスやカルロス・バッカも復帰しており、アタッカー陣は人材が揃ってきています。ここまであげてきた要因が重なり合って、久保はここ3試合起用を見送られていると考えます。
悔やまれることがあるとしたら、12月13日のベティス戦です。6試合ぶりに先発したこの試合で、ビジャレアルは前半だけで2人が負傷交代し、後半に入って58分にもケガによる選手交代を迫られました。この時点で交代のタイミングを使い切ることになってしまい、エメリ監督は久保を下げてサムエル・チュクウェゼを投入した。ケガ人がこれほど重ならなければもう少しプレーでき、結果を出せたかもしれません。彼自身のパフォーマンスは決して悪くなかったのです。
プロフェッショナルを評価するうえで、数字は重要な指標となります。それは間違いないのですが、数字には表れない貢献というものもある、と私は考えます。
久保がビジャレアルで「できること」
セビージャに0対2で敗れた29日のゲームで、ビジャレアルは連動した崩しがほとんどできていませんでした。個々が孤立したなかで仕掛けている場面が目立ち、攻撃を分断されている印象を受けました。ここまで最下位のウエスカについで引き分けが多いのも、「個」で崩せないと攻撃が手詰まりになってしまうことが関係しています。
ビジャレアルが勝点3を積み重ねるチームへと変わっていくためには、攻撃の際に「ハブ」となる選手が必要です。
久保なら、その仕事ができます。
狭いスペースでボールを受け、ワンタッチで味方にさばくことも、ターンして前へ持ち出すこともできる。久保がボールの中継点になることで、「個」の力では相手守備陣を崩し切れない状況を打開していける。攻撃に連動性を生み出すことができるのです。
12月6日のエルチェ戦は、まさにそういった展開でした。後半からの出場で、攻撃を劇的に改善したのです。エメリ監督もそのプレーを評価して、続くベティス戦で先発に指名したのでしょう。