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不遇の久保建英“3戦連続出番なし” それでもエメリが評価した「久保だからできる仕事」とは?
posted2020/12/30 17:11
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
難しい局面に立たされたまま、『TAKE』の2020年は幕を閉じた。
現地時間12月29日に行なわれたスペイン1部ラ・リーガ第16節のセビージャ戦で、ビジャレアルに所属する久保建英は出場機会を与えられなかった。リーグ戦では12月19日のオサスナ戦から、3試合連続でピッチに立てていないことになる。
ラ・リーガは年明け早々にも試合があるので、年内という区切りにはあまり意味がないかもしれない。そのうえでひとまず数字を出しておくと、開幕からここまでは13試合出場で、得点、アシストともに記録していない。
ビジャレアルでの現状を、お馴染みの中西哲生氏に分析してもらおう。
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久保が出場できない“3つのチーム状況”
久保建英について語るには、ビジャレアルのチーム状況を整理する必要があります。
29日のセビージャ戦まで16試合を消化して、ビジャレアルは6勝8分2敗で5位につけています。負けたのは第3節のバルセロナ戦と直近のセビージャ戦で、リーグ戦ではおよそ3カ月負けなしで戦ってきました。引き分けが多い、勝ち切れない、といった見方もできますが、ある程度は結果が出ている。現在のビジャレアルは、試合のたびにメンバーを大きく入れ替える必要がない、と言うことができます。
戦術的な変化もありました。シーズン序盤は4-2-3-1や4-4-2が採用され、どちらのシステムでもオフェンシブなMFとFWが4人ピッチに立っていました。
しかし、このところのウナイ・エメリ監督は、4-3-3を使うようになっていきます。中盤がアンカーと2人のインサイドハーフで構成され、前線は3トップになりました。オフェンシブな選手の出場枠が、1つ減ったのです。
チームがそれなりの調子を保ち、かつシステム変更で枠が減ったことに加えて、久保自身にも出場機会減の理由はあるでしょう。ヨーロッパリーグでは得点もアシストも決めているものの、リーグ戦では目に見える結果を残すことができていません。
若手の台頭と、悔やまれる「ベティス戦」
久保とは対照的に、18歳のジェレミ・ピノ、20歳のフェルナンド・ニーニョはリーグ戦で得点を決めています。期限付き移籍で加入している久保のような選手よりも、育成組織出身の若手を中長期的な視点に立って育てる、という思惑がクラブ側にあってもおかしくはないでしょう。