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弱体化カープの光は堂林翔太&長野久義 “次代のタナキクマル”とリリーフ育成は必須【記録で12球団総括】
posted2020/12/22 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
2018年まで3連覇した広島東洋カープは、ここ2年Bクラスに甘んじた。佐々岡真司新監督になって、新しい面はいくつも見えてきたのだが、それでも今年の広島は5位になるべくしてなったという印象だった。
<2020年チーム成績>
52勝56敗12分 勝率.481(5位)
打率.262(2位)本塁打110本(4位タイ)501打点(2位)64盗塁(4位)
防御率4.06(5位)21セーブ(5位タイ)56ホールド(6位)113被本塁打(4位)
オフェンス面ではいわゆる田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の「タナ・キク・マル」が解体してから、復活が遅れている印象がある。
<3連覇が始まった2016年からの広島の得点と得点のリーグ順位>
2016年 684得点(1)
2017年 736得点(1)
2018年 721得点(1)
2019年 591得点(4)
2020年 523得点(2)
3連覇の期間は、2位チームに100点前後の差をつける得点力で圧倒していたが、2019年に4位に転落。2020年は巨人に次ぐ2位まで盛り返したが、かつての勢いはなかった。
丸FA移籍と「タナキクマル」後の打線
得点力が急減した最大の要因は、言わずと知れた丸佳浩のFA移籍だ。
<2016年以降の丸の得点と打点のリーグ順位>
・広島時代
2016年/98得点(3位)90打点(7位)
2017年/109得点(1位)92打点(3位)
2018年/109得点(2位)97打点(4位)
・巨人時代
2019年/82得点(7位タイ)89打点(8位)
2020年/63得点(9位)77打点(6位)
広島時代の丸は「タナ・キク・マル」の愛称の通り3番打者として活躍した。丸がすごいのは走者をかえしただけでなく、高い出塁率で自分もたくさん本塁を踏んだことだ。打点よりも常に得点の方が多かったし、どちらもリーグトップクラスだった。
丸の退団そのものも大きな損失だったが、丸という戦力がライバルの巨人にそのまま移転したことも痛かった。
余談ではあるが、2019年の丸は3番打者だったが今季は5番に入った。得点を大きく稼いでくれる今年の巨人は丸の良さを活かしきっているとは言えないだろう。
2019年は「タナ・キク・マル」の切り込み隊長の田中広輔もひざの故障などで極端な不振に陥った。勝利の原動力が失われたことで、Bクラスに転落した。
それでも昨シーズン後半には西川龍馬とバティスタが中軸で活躍し、翌年の打線に希望が持てるように思えたが、バティスタが不正薬物使用で契約解除、西川も右足首などの故障で戦線離脱した。
お先真っ暗だった広島打線の光明となったのが、堂林翔太だった。