酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
弱体化カープの光は堂林翔太&長野久義 “次代のタナキクマル”とリリーフ育成は必須【記録で12球団総括】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/22 17:02
復活を遂げた大器・堂林翔太。鈴木誠也との右のスラッガーコンビとしてカープを支えたい
<2020年、セ・リーグ6球団の救援投手の成績 防御率順>
1 阪神 20勝12敗30SV 80HD 率3.39
2 DeNA 14勝19敗24SV 104HD 率3.54
3 巨人 16勝11敗27SV 96HD 率3.60
4 中日 17勝10敗31SV 94HD 率4.33
5 ヤクルト 15勝19敗21SV 88HD 率4.33
6 広島 9勝13敗21SV 56HD 率4.64
広島はセーブ数が最下位タイ、ホールド数は5位に大きく引き離されての最下位。救援防御率も最下位である。
先発投手が好投しても、継投する救援投手陣が弱体で、勝利をキープすることが難しかったのだ。
スコットが“外れた”ことが痛すぎた
最初の躓きは「スコットのクローザー起用」だろう。
新外国人投手テイラー・スコットはマイナー9シーズンで15セーブ、MLBではセーブを挙げたことがなかったが、広島はクローザーに抜擢した。
しかしクローザーで起用された4試合で3度失点。一度もセーブを挙げることができなかった。このためシーズン中に急遽、別のクローザーを立てることとなった。
<広島で今季、セーブを挙げた投手>
1 フランスア 2勝3敗19SV 7HD 率2.45
2 菊池保則 1勝0敗1SV 4HD 率4.50
3 一岡竜司 0勝1敗1SV 2HD 率6.23
スコットの後は菊池をクローザーに据えたが1セーブで交代。一岡もクローザー起用2試合で交代。フランスアが今季初セーブを挙げたのは、開幕から40日が経った7月29日のことだった。
フランスアは昨年もクローザーとセットアッパーを掛け持ちしたが、これによって今年も中継ぎ陣が手薄になってしまった。
今季、広島の主要な中継ぎ投手の成績は以下の通り。
塹江敦哉 3勝4敗0SV 19HD 率4.17
ケムナ誠 1勝1敗0SV 11HD 率3.88
フランスア 2勝3敗19SV 5HD 率2.45
菊池保則 1勝0敗1SV 3HD 率4.50
島内颯太郎 1勝0敗0SV 4HD 率4.54
2けたのホールドを挙げた投手は2人だけ。これはリーグ最小だ。
勝利の方程式が崩壊したという見方も
広島3連覇のときは、クローザーに中崎翔太、セットアッパーに今村猛、一岡竜司と「勝利の方程式」ができていた。連覇が途切れたのはこの方程式が崩壊したからだという見方もできるのだ。
クローザーにフランスアを据えるのであれば、新たにセットアッパーをしっかりと整備する必要がある。大竹寛の巨人FA移籍の人的補償でやってきた一岡竜司が大活躍したように、セットアッパーは無名の投手の登竜門でもある。実績のない投手の中から、1イニングだけでも通用する投手を複数見つける努力をすべきだろう。
先発陣は、それに比べれば良いように見える。しかしながら、来年以降への懸念材料がある。