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弱体化カープの光は堂林翔太&長野久義 “次代のタナキクマル”とリリーフ育成は必須【記録で12球団総括】
 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/12/22 17:02

弱体化カープの光は堂林翔太&長野久義 “次代のタナキクマル”とリリーフ育成は必須【記録で12球団総括】<Number Web> photograph by JIJI PRESS

復活を遂げた大器・堂林翔太。鈴木誠也との右のスラッガーコンビとしてカープを支えたい

 プロ3年目の2012年にフル出場をしてから下降線を描き続けてきたが、8年ぶりに規定打席に到達。キャリアハイの成績を残した。主に下位打線を打ち、一塁と三塁を守った。三塁守備は17失策とお世辞にもうまいとは言えなかったものの、チャンスに強く、沈滞気味の打線に活力を与えたのは間違いない。

 さらには丸の人的補償で広島に来た長野久義がシーズン後半に中軸で活躍したのも大きかった。マツダスタジアムでは一番大きな拍手をもらっていた。

 昨年の長野は左投手対策という位置づけだったが、今季は西川の戦線離脱もあって出場機会が増え「使ってみると働く」ことを証明した。代打成績は、25打数11安打、打率.440。この印象も強烈だった。

鈴木誠也偏重の打線が変わりつつある?

 続いては2019年と2020年の広島打線のRC(Run Creates/打撃面の総合指標)の10傑だ。

<2019年>
1鈴木誠也 126.93
(499打167安28本87点25盗 率.335)
2西川龍馬 76.99
(535打159安16本64点6盗 率.297)
3菊池涼介 72.36
(547打143安13本48点14盗 率.261)
4會澤翼 66.64
(376打104安12本63点2盗 率.277)
5バティスタ 66.38
(372打100安26本64点0盗 率.269)
6松山竜平 36.07
(294打76安6本49点0盗 率.259)
7野間峻祥 35.91
(314打78安2本16点14盗 率.248)
8安部友裕 31.11
(264打67安8本28点5盗 率.254)
9田中広輔 22.48
(311打60安3本27点8盗 率.193)
10メヒア 20.48
(162打42安7本17点0盗 率.259)

<2020年>
1鈴木誠也 91.81
(430打129安25本75点6盗 率.300)
2堂林翔太 61.43
(401打112安14本58点17盗 率.279)
3田中広輔 55.15
(378打95安8本39点8盗 率.251)
4菊池涼介 52.53
(376打102安10本41点3盗 率.271)
5松山竜平 48.04
(404打112安9本67点0盗 率.277)
6西川龍馬 46.69
(296打90安6本32点6盗 率.304)
7長野久義 44.12
(267打76安10本42点1盗 率.285)
8ピレラ 39.37
(316打84安11本34点2盗 率.266)
9會澤翼 33.84
(229打61安7本36点2盗 率.266)
10坂倉将吾 28.51
(209打60安3本26点1盗 率.287)

 今季の堂林の復活がいかに大きかったかがわかる。これは佐々岡監督の手柄ではあろう。

 RCは積み上げ型の数字だから、試合数が多い2019年の方が高くなるが、昨年よりも6位以下のRCがアップしているのは、鈴木誠也偏重の打線に、多少の膨らみができたことを意味している。

 こういう形で脇を固める選手が充実すれば、広島打線は上向きに転じるだろう。

 ディフェンス面の問題点もはっきりしている。広島は救援投手陣が弱体だったのだ。

【次ページ】 スコットが“外れた”ことが痛すぎた

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広島東洋カープ
田中広輔
菊池涼介
丸佳浩
堂林翔太
大瀬良大地
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