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原口元気「正直またかという感じ」 日本代表は“2年前”を乗り越えることができるのか
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJFA
posted2020/11/25 11:02
4試合で2勝1分1敗。そのうち3試合を無失点としたものの、4試合で奪ったゴールは2得点のみ。日本時間17日に行われたメキシコ戦では、0-2で敗れている
チームで“臨機応変”に対応するために
「個人的には強豪相手であろうとなかろうと、必ずボールを保持していたいとか、その時間を長くしていきたいとはあまり考えていない。すべては勝利するためであって、(どういうプレーをするかは)そのときの状況や時間帯によって、変わっていくもの。ボールを放棄したほうが勝つ可能性が高くなることもある。ポゼッションを軽視しているような言い方に捉えられるかもしれないが、決してそうではない。個人的に明確なスタイルを持つことはしたくない。
常に『自分たちのサッカー』というものを掲げてきた日本代表も過去にありましたが、それに囚われて試合の全体像が見えていないのであれば、ちょっと違ったものになるかなと個人的には思う。チームとして(方向性は)持っているかもしれないですけど、それはあくまでアイデアであって、大事なことは勝利するために何をしていくかだと思う」
ピッチ中央に立つ柴崎は、個々人のプレーの形に縛られるよりもチームとして臨機応変に対応できることの重要性を訴えたのだ。
メキシコ戦前日にも、「まずは簡単に自分たちのボールを手放さないというチームコンセプトを持ちつつ、しっかりと自分たちがボールを動かし、相手を崩していけるようにしたい。今まで積み上げてきた自分たちのテーマ、チャレンジをできるかだと思います」と話し、チームコンセプトの重要性を強調している。そこがブレてしまうと勝利への道筋も見えなくなるということなのかもしれない。
決定的なチャンスを決めきれなかったメキシコ戦
「前半は明らかに日本が有利に試合を進め、決定的なチャンスを作っていた。前半の20分から25分間は、私が代表監督に就任してからの2年間で、もっとも良くない時間、最悪の時間帯だった」
メキシコ代表監督のヘラルド・マルティノは、日本戦についてそう振り返り、苦戦スタートだったことを認めた。しかし、日本は原口や鈴木武蔵のシュートを始め、チャンスを作りながらもゴールネットは揺らせなかった。それでも、「いい形は作れている。あとは決めるだけだ」という自信を日本選手たちは抱いていたかもしれない。W杯常連国のメキシコ相手に0-0の前半は悪くない。しかも守り抜き、凌いだというよりも、ほとんどチャンスらいしチャンスを与えなかったのだから。試合の主導権は日本が握っていた。
しかし、メキシコはハーフタイムで大きく軌道修正する。メンバー交代をし、システムを変更。「通常あまり行っていない」と監督自らが語るダブルボランチによって、試合は一転メキシコペースとなる。「中盤で相手に負けていたので、インテンシティーを高めるのが狙い。それによりフィジカル面、サッカー面の両方で試合を有利に進められた」という指揮官の思惑通りとなった。