箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝を制するのは? “4強” 駒澤、東海、青学、明治「優勝へのそれぞれの条件」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2020/11/05 11:03
“箱根駅伝の前哨戦”今年の全日本大学駅伝は6年ぶりとなる駒澤大学の優勝で終わった
東洋大は、松山和希、佐藤真優の2人の1年生が駅伝デビューを果たし、松山が2区区間7位、佐藤が3区区間9位とまずまずの走りを見せた。4年の大澤駿、3年の腰塚遥人、宮下隼人は各区間で自分の役割果たした。ただ、エースの走りを期待されている西山和弥(4年)がまだ復調している感じではない。7区に当日変更で出走し、序盤こそ神林(青学大)といいペースで走っていたが、徐々に落ちていき、区間11位の走りで順位を5位から7位に落とした。エースと呼ばれる選手が二桁の順位では、酒井俊幸監督も頭が痛いだろう。西山の完全復活と、吉川洋次(4年)、鈴木宗孝(3年)らの上級生の復調、及川瑠音、清野太雅ら2年生の中間層の押し上げが箱根での王座奪還には必須になる。
順天堂は、箱根予選会トップ通過そのままの勢いを見せた。
1区を任されたスーパールーキー三浦龍司のラストスパートは、圧巻だった。ラストになっても苦しむことなく、淡々とあのハイスピードを出せるところにトラックでスピード強化をしてきた成果が表れている。あのスピードは長距離の選手は対応できない。箱根では、今回の倍以上の距離を走ることになるが、三浦は「不安はないです」とキッパリという。箱根予選会では、10人全員が62分台内にまとめた実力者揃いで距離に対する苦手意識や不安はない。
実際、予選会でハーフを61分51秒で走り、今回、4区を走った野村優作(2年)は区間新を出した。同じく62分台で走る石井一希(1年)は5区で区間5位という結果を出し、存在感を示した。箱根の特殊区間である5区、6区をうまく機能させると、総合でもシード権獲得の10位内はもちろん、さらに上を目指すことができるだろう。
ここに創価大、帝京大、国学院大などが絡み、さらに前回大会以上の高速レースになり、目が離せない展開になりそうだ。
箱根駅伝まであと2カ月――。
各大学とも今回のレースは勝負と強化という両面で収穫が大きかった。
例年、箱根駅伝のエントリー選考のレースになっていた世田谷ハーフや上尾ハーフがなくなり、ロードレースで、しかもハーフの距離での選手の力や適性を見ることが難しくなっている。そのため、今回はロードでガチンコの状態で新戦力を始め個々の選手の力を確認しつつ、他大学の選手を見て、チーム戦力を分析する場になった。
これから箱根駅伝まで約2カ月間。全日本大学駅伝で見えたチームと個の課題について修正し、1年生の強さ、分厚い選手層、エースの3つのポイントを高め、本番に向けてチームの一体感を高めていく。
それを高次元で実現したチームに箱根制覇のチャンスが訪れる。