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箱根駅伝を制するのは? “4強” 駒澤、東海、青学、明治「優勝へのそれぞれの条件」
posted2020/11/05 11:03
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
全日本大学駅伝は、田澤廉(2年)が東海大の名取燎太(4年)とのアンカー勝負に競り勝ち、駒澤大学が6年ぶりの優勝を果たした。レース後、大八木弘明監督は「うちは(成績が)落ちた時があるけど、今回の優勝は嬉しい。これから令和の常勝軍団にしていきたい」と、笑顔で語った。
コロナ禍の影響により、今シーズン初の大学駅伝となった今大会は、駅伝の面白さが凝縮されたレースになった。1、2、3、6、7、8区でトップに立つ大学が入れ替わり、区間新が4つ生まれた。その4つの内、3区間で1年生が新記録を叩き出し、まさに「1年生強し」を印象付けた。8区での青学大、駒澤大、東海大の三つ巴の勝負はデッドヒートに。歴史に残る戦いになった。その3強を食う活躍が期待された明治大が3位に入賞、箱根駅伝予選会でトップ通過した順天堂大は8位内に入り、14年ぶりにシード権を獲得した。
大会前、今回のレースは強い1年生の活躍、分厚い選手層、エースの存在の3つのポイントが勝敗を決める要因になると書いたが(《箱根の前哨戦》全日本大学駅伝、優勝予想「強い1年生・充実した中間層・エースの存在」を満たすチームは?』https://number.bunshun.jp/articles/-/845581)、この3つを高いレベルで実現した3強が優勝争いを展開し、明大、順大が学生駅伝の勢力図を塗り替えた。
次は大本命・箱根駅伝。この全日本での結果と収穫を、そして3つのポイントを踏まえて優勝争うのは、どのチームになるのだろうか。
《駒大》確実に「総合優勝」が見えてきた!
優勝争いは、駒大、東海大、青学大、明大の4強になるとみる。
今回、優勝した駒澤大は、エース田澤の存在の大きさが改めてクローズアップされた。最後に大砲がいることで、田澤になんとか繋ぎたいという各区間の選手の強い思いがモチベーションになり、精神的な支柱になっていた。そのエースが最後に全員の気持ちに応える仕事をして、見事優勝を勝ち取った。この成功体験は大きな自信となり、箱根につながる。
1年生は2区に花尾恭輔、3区に鈴木芽吹が起用された。花尾はなんとかレースの流れを維持し、鈴木はエースが揃う3区で堂々たる走りを見せた。特に鈴木はロング区間の耐性にも自信を持ち、箱根でも往路の走りができることを証明した。最大の収穫は、酒井亮太(2年)、山野力(2年)ら中間層に強い選手が出てきたことだ。