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名門・前橋育英の14番がまたJリーグへ 名伯楽や先輩から学び、次はイニエスタの横で
posted2020/09/18 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
名門・前橋育英高校の「背番号14」――。
9月18日、伝統ある番号を引き継ぐ櫻井辰徳が、来季からヴィッセル神戸へ加入することを発表した。
「本当に14番は重い。昨年、背番号が『14』に変わっただけで、周りの目がガラッと変わりました。正直、そのプレッシャーが凄すぎて、押しつぶされそうになる時もありましたね」
「14番」の歴史を振り返ると、名ボランチとして鳴らした山口素弘(1986年度卒業)まで遡る。日本代表としてW杯フランス大会にボランチとして出場。日本サッカー界の新たな幕開けを彩った山口は、黄色と黒の“タイガーユニフォーム”の14番を背負い、高校サッカーでも輝きを放っていた。
山田監督の14番を背負った男たち……
もともと、この番号は前橋育英を全国トップレベルの強豪に仕立てた山田耕介監督が、自身の高校時代に背負っていたもの。監督に就任以降、チームの核を担う選手に14番を与えてきた。
山口を輩出した8年後には故・松田直樹(1994年度卒業)が引き継いだ。攻守の要としてボランチやCBとして活躍すると、先輩に次いで同校OBで2人目となるW杯出場(2002年日韓大会)を果たしている。
それ以降も、しっかりとその系譜は受け継がれ、「前橋育英の14番」から多くのプロ選手が巣立っていった。青木拓矢(浦和)、小島秀仁(千葉)、鈴木徳真(徳島)など、その大半がボランチの選手。高校サッカー選手権初優勝を達成した3年前の14番・田部井涼は、現在は法政大3年でプロ注目のボランチに成長。2年前は秋山裕紀(沼津)がJリーガーとなっている。
神戸入りを決めた櫻井のメインポジションもボランチ。右利きだが、両足のキックの精度が高く、正確なファーストタッチとプレー選択の早さが売り。展開力にも定評があり、縦パスで攻撃のスイッチを入れられる選手だ。