フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
米フィギュア連盟のLGBTへの姿勢。
「聞かない、言わない」から変化が。
posted2020/07/06 11:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Elsa/Getty Images
先月6月はPride Monthだった。
元々は1960年代後半にニューヨークで、性的少数者の人たちが受けた迫害に対する抗議行動からはじまった。現在ではレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)の人々が、誇りを持って生きていけるよう社会意識を高めていこうというムーブメントである。
今年はカナダフィギュアスケート連盟(スケートカナダ)、全米フィギュアスケート連盟(USFSA)が相次いでホームページにてLGBTQ+コミュニティへのサポートを公式に表明して、話題になっている。
6月16日にはスケートカナダが、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルなどの人たちをよりスケート界に受け入れるための8つの方法と題するコラムを掲載。こうした人々が孤立することなく、安全だと感じることのできる環境づくりのための心得などをリストした。
相手の言葉に敬意をもって耳を傾けること、悪意がなくても本人の同意なしに噂を流したりしないこと、差別を暗示する言葉遣いを避けることなど、8つの項目が紹介されている。
カナダではブライアン・オーサーが訴えられた。
カナダでは1998年に、現在は羽生結弦らのコーチでもあるブライアン・オーサーが、元パートナーから訴えられ、ゲイであることが公にされるという事件があった。
当時オーサーはプロスケーターとして活躍していたが、「これでもう自分のキャリアは終わったと思った」という。でも予想に反して、好意的なサポートのメッセージが、ファンや関係者たちから山のように届いて、本人がとても驚いたことを告白している。
カナダにはほかにも、トレイシー・ウィルソンとカルガリー五輪でアイスダンス銅メダルを手にしたロバート・マッコール、70年代に6回カナダタイトルを手にしたトーラー・クランストンなど、ゲイであることが知られていた過去のチャンピオンは少なくない。
近年では平昌オリンピック、ペア銅メダリストのエリック・ラドフォードが、同性婚をして養子を育てていることも、好意的なニュースとして受け止められた。