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豊ノ島の引退で考える「関脇」問題。
初昇進から1年の成績が未来を占う?
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph byKyodo News
posted2020/07/04 11:30
豊ノ島というと、2010年の優勝決定戦で白鵬に敗れた一番の印象が強い。周囲の拍手が彼の奮闘を物語っている。
最初の1年の成績がその後を決めがち。
上を見れば平均勝率7割を優に超える横綱がいて、大関の平均勝率も6割ほどはある。
現在で言えば横綱が2人、大関が2人、ほぼ同格の三役力士が3人いる。その中で勝ち越したり二桁勝利を手にする難しさは想像以上なのだ。
そして、関脇経験者の成績推移を見て興味深いことに気がついた。
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関脇に昇進して最初の1年ほどの成績が、その力士のカテゴリを決めるケースが多いということだ。つまり昇進から1年間勝ち越せなかった場合、その壁を破るのが難しいのだ。
大関に昇進した力士は、初めての関脇昇進から1年以内に二桁勝利を挙げるケースが多く、その割合は実に81%に上る。関脇で勝ち越しを経験した力士の68%が、昇進した最初の場所で勝ち越しを決めている。
もちろん例外も存在する。清國、豪栄道のように関脇昇進から初めて勝ち越すまでに3年前後かかっても後に大関に昇進した力士もで初めての勝ち越しを決める力士もいる。しかし、後に飛躍する力士の多くが関脇に昇進してから早く結果を残す傾向があることは覚えておきたい。
鶴竜と栃ノ心は遅咲きタイプ。
では、現役力士たちはどうだろうか。
大関経験者のうち高安、照ノ富士、朝乃山、貴景勝は関脇昇進直後の場所で二桁勝利を挙げた。白鵬も初の関脇昇進から1年以内に二桁勝利を経験している。鶴竜と栃ノ心は初めての勝ち越し・二桁勝利まで2年近くかかった少数派だ。
今後の活躍が期待される力士たちを見ると、御嶽海が初の関脇から1年で二桁勝利を決め、上位で二桁勝てないという評価はもはや当たらない。気が付けば関脇在位も11場所と長いが、ここから更なる飛躍をしてもおかしくない成績を残している。