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コロナ禍の今こそ阿炎の活躍が必要!
7月場所に絶対見たい、あの笑顔。
posted2020/07/02 19:00
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph by
Kyodo News
いよいよ7月。予定通りであれば、5月はお預けとなった大相撲の本場所が遂にやってくる。今回も3月場所と同様に無観客で行われる上、スケジュールも2週間遅れとなっているが、それでも長らく取り組みそのものが見られなかった相撲ファンにとっては喜ばしいことである。
力士たちも、それぞれの部屋において徐々にぶつかりや申し合い稽古を再開。場所に向けて日々真剣に取り組んでいる。
今回は、26歳になったばかりの先月、入籍を発表して世の中にうれしいニュースをもたらしてくれた、“角界きっての元気印”阿炎を紹介したいと思う。
いつもニコニコしていた少年力士。
「こんにちはー! こんにちはー!」
少年相撲のとある大会。ニコニコと無邪気な笑顔で、ほかのクラブの知らない人にまで挨拶をしまくっている可愛い小学生がいた。
彼の名は堀切洸助。
現在、錣山部屋所属の阿炎である。
彼よりも2つ年上で、同じ埼玉県出身の北勝富士は、阿炎と初めて会ったときのことをこう振り返る。
「昔はモヒカンみたいな頭をしていた僕に、急に『その髪触っていい?』って話しかけてきたんですよ。それまで話したこともなかったのに、いきなり。びっくりですよね(笑)」
その後もすくすくと成長し、今では大相撲の土俵で活躍を見せている阿炎。彼の力士としての魅力を、改めてここにしたためよう。
阿炎の魅力その1:長い手足と突っ張り
彼の取り口を語る際に欠かせない特徴は、なんといってもあの長い手足だろう。
まさに“最近の子”といったスタイルの良さ。柔軟性も相まって、天高く上がる彼の四股は、多くの相撲ファンを魅了する。
そんな阿炎の持ち味は、恵まれた体形を生かした、相手を遠くへ遠くへと押しやる豪快な突き。
アマチュア時代からの武器だが、プロになった現在と比べると、「体重が増えたことで重みが増しました。少しずつ力もついていますし、相手の感じる重みは変わったと思います」と話している。
阿炎の師匠である錣山親方は、言わずと知れた“突っ張りの寺尾”。「突き押しに関しては、師匠はプロフェッショナルですから、言われたこと1つひとつが大切なものだと思っています。錣山部屋を選んだのも、師匠を尊敬していて大好きだったからです」と、普段はひょうきんな阿炎も、師匠の話になると、いつになく真剣な口調で語る。
親方は以前、阿炎の相撲について「取組になるとすり足ができず、足がバタついてしまうのが課題。何度言っても直らない」と、厳しく指摘していた。しかし、改善点があるということは、それだけまだ伸びしろがあるということ。そう期待して、今後の阿炎の進化した突っ張りを待ち望んでいる。