“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
大学4年生の進路、Jリーグか就職か。
アピールの場が減る今、何を考える?
posted2020/06/24 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
全国で緊急事態宣言が解除され、スポーツ界もようやく動き出したなか、アマチュアスポーツの先陣を切る形で関東大学サッカーリーグが7月4日から開幕することになった(2部が4日、1部が5日開幕)。しかし、すべての大学が足並みを揃えて動き出したわけではない。まだ練習を再開させたばかりの大学もあれば、関西や九州に至っては、リーグ戦開催の目処もまだ立っていない。
それぞれ置かれた地域、学校の方針などにも大きく左右されているなかで、進路を決める大学4年生は、一向にハッキリとしない情勢の中で大きく揺れ動いているのが現状である。
すでにJリーグ内定選手が次々と発表されているが、その大半は昨年度からJクラブの練習や年始のキャンプに参加し、緊急事態宣言が出される前に評価が一段落している選手ばかりだ。今季のリーグ戦などでプロ入りへのアピールを目論んでいた選手たちにとって、新型コロナウイルス感染拡大による影響は計り知れない。今後の活動如何では、未来図が大きく変わってくるだろう。
将来のためのアクションをしているか。
「例年より、現段階でプロを目指したい、プレーヤーを続けたいという意思を持った選手は増えた印象を受けています。それはやはりサッカーをやりきれていない、終わるならやり切って終わりたいという気持ちが強くなったからだと思います。プロになれる可能性があるなら大学サッカーは最後まであきらめないでチャレンジしたい、後悔をしたくないという理由で、就職活動と並行することをやめたという選手もいます。(現在は皆)自分の将来や、夢への不安を抱えている。大学の後はすぐに社会だし、4年生は社会に出るラストの1年なので、そこは難しい。でも、はっきり言えるのはこの1年をどう過ごすかで、将来の成長の角度が大きく変わってくることだと思います」
こう語るのは、筑波大学蹴球部の監督であり、筑波大助教でもある小井土正亮氏だ。一昨季は西澤健太(清水エスパルス)ら、昨季は三笘薫(川崎フロンターレ)、高嶺朋樹(北海道コンサドーレ札幌)らと、毎年のようにプロ選手を輩出している筑波大だが、今年は現時点で内定者は1人もいない。
「今年はこういう状況だから、ではなく、そもそも他者から評価されて、具体的な提示を受けるのがプロ。人から評価されて初めてサッカーができるかどうかが決まるんです。まず、その競争に勝たないといけないという大前提がある。だからこそ、それを掴むために(どんな状況であれ)自発的に動くことが大事。
学生が自分で考え、調べた上で起こすアクションであれば、私もそのサポートはします。私たち指導者ははコロナ禍であろうがなかろうが、学生たちが将来のためにどこまで必死にアクションを起こしているかを見ています。プロに行きたいと希望しても、その全員について指導者側が動いて希望の場所を見つけるのは不可能ですし、一部の学生だけを優遇するのも違う。全員にフラットに接するようにしています。学生からすると、冷たい、面倒を見てくれないと感じているかもしれませんが、あくまでも我々は学生1人1人がきちんと考えているか、行動しているかをしっかりと見ています」