“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
大学4年生の進路、Jリーグか就職か。
アピールの場が減る今、何を考える?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/06/24 20:00
進路を「プロ1本」と明言してきた筑波大主将・知久航介。現状から目を逸らさず、教員免許取得にも動き出した。
失われたアピールの場。
「関東、関西のリーグと比べて、北信越リーグはデンソーチャレンジ、総理大臣杯、天皇杯(縮小開催)がなくなった影響はとてつもなく大きい」と語るのは、新潟医療福祉大の佐熊裕和監督だ。
「チャレンジする選手はリーグが始まったり、Jクラブに練習参加できるようになれば積極的に送り出したいし、それだけではなく教員免許の取得や公務員試験に向けての準備など、いろんな選択肢を与えていきたい。そこは選手自身の考えや行動も大事で、現実を見据えながらサポートしていくつもりです」
いずれにせよ、大学4年生にとってはあまりにも過酷な状況に直面していることに変わりはない。だが、何度も言うように可能性を自らの手で広げないと前には進めない。最後に小井土監督(筑波大)はこう締め括った。
「5年後、10年後に『あの1年は大変だったな』と振り返ることが出来た時に、このコロナ禍の過ごし方の意義が決まると思います。サッカーに対しても『こういう状況でも、きちんと対策をした上でやるべきだ』という意見がある一方で、『もっと慎重にならないといけない』という意見も出てきている。これまでは表面化しなかった考え方や価値観の相違なども顕在化してきている。でも、それはこの危機的な状況の中で、みんなが真剣に自分自身のことや組織全体を考えるようになったからだと思っています。我々も正直、7月5日の(1部)リーグ開幕戦と第2節までは不参加となる予定ですし、その先も不透明な部分はあります。そういう大学もある状況だからこそ、それぞれがチームとして、個人として何が正解なのか、どうすべきなのかを真剣に考え、議論を重ねて行動に移していくしかないと思っています」