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坂本勇人の後継者がついに現る!?
巨人ドラ8、湯浅大のセンスが開花。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/06/12 11:50
DeNAとの練習試合で2点打を放ち笑顔を見せた巨人・湯浅。憧れの先輩の背中に追いつけるか。
「坂本の後継者」の補強は?
ところがそこから2位で大阪ガスの岸田行倫捕手、3位でこれまたNTT西日本の大城卓三捕手と社会人出身の即戦力捕手を続けて獲得した指名に、会場にはどよめきが起こった。
この年は小林誠司捕手がようやくレギュラー捕手としての地歩を固め出した年で、シーズン後半には控え捕手として宇佐見真吾捕手(現日本ハム)も頭角を表してきていた。そこでなぜ、上位で社会人出身の即戦力捕手を2人も指名したのか、という疑問がこのどよめきの理由だった。
「その年のドラフトで1つのチームを作るわけじゃないからね。チームの弱いところを補強する。いまの小林ではまだまだ大丈夫という域までは達していない。キャッチャーが大きな補強ポイントだったということですよ」
キャンプで会った岡崎部長のそんな説明に納得はできなかった。そこでそれならもっと補強しなければならないのは、「坂本の後継者」ではないかと食い下がった。
「根尾を獲れなくても湯浅がいる」
そのとき岡崎部長から出てきたのが「湯浅大」という名前だったのだ。
正確に言えば「来年、根尾(昂、中日)がいるからね。でも、もし根尾を獲れなくても湯浅がいるじゃない」という言い方だった。
ただ、この小柄で細身のドラフト8位指名の内野手の情報は、そのときにはほとんどゼロに等しかった。そこで「そんなに良い選手なんだ……」と半信半疑で言った言葉への岡崎部長の反応が印象に残っている。
「まだ線は細いし、非力だからプロの世界に慣れるのに時間はかかるかもしれないですね。でも、スピードがあるし、何よりセンスがある。そこが坂本と一緒なんです。坂本だって入ってきたときは同じような線の細さがあったけれど、あれだけになった。それがセンスってもんだからね」