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坂本勇人の後継者がついに現る!?
巨人ドラ8、湯浅大のセンスが開花。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/06/12 11:50
DeNAとの練習試合で2点打を放ち笑顔を見せた巨人・湯浅。憧れの先輩の背中に追いつけるか。
センスを買っての青田買いだった。
通常なら体が小さく、大学か社会人での成長度を見て指名する、いわゆる“ワンクッション”の選手だったが、そのセンスを買っての青田買いだったという。
それから1年後に再び湯浅の名前を聞いたのは、昨'19年9月に全く違う取材で訪れたジャイアンツ球場でのことだった。
「でも湯浅は面白いですよ」
突然、湯浅の名前を出したのは当時の高田誠二軍監督だった。
昨年はエースの菅野智之投手に期待の吉川尚輝内野手など腰の故障に悩む選手が多かったという話から、同監督がいきなり二軍でも湯浅が春先に腰を痛めてしばらく練習に参加できなかったという話をしだしたのだ。
オープン戦で打率3割9分1厘、1本塁打、5打点。
「今年は下(二軍)でショートのレギュラーをと期待していたんですよ。それがケガで出遅れてしまいましたけどね」
こう語った高田監督も湯浅をこう絶賛するのを聞いた。
「1年目は体も細くてプロ野球選手かよって感じだったんですけど、とにかくセンスがある。バッティングも思い切りがあって、自分のスイングでバットが振れる。インコースのさばきとか、ちょっと坂本を彷彿させるようなスイングを見せる時があるんです」
青田で買った田んぼの稲はしっかりファームで成長して、色づき始めていた。
そうしてコロナ禍がまだそれほど大きくなる前の春のキャンプで、一軍に呼ばれて原監督の目に止まると、オープン戦では打率3割9分1厘、1本塁打、5打点と結果を残してサバイブしてきた。
考えてみればスカウト部長、二軍監督、そして一軍監督と、湯浅を見てきたそれぞれのカテゴリーのトップが、いずれもそのセンスを絶賛した選手なのである。