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MGCは日本マラソンの何を変えたか。
瀬古利彦が語る影響、箱根との関係。
posted2020/05/05 11:50
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
MGCは、「東京五輪の結果が出ないと本当の成功とはいえない」と陸連の強化委員会マラソン強化・戦略プロジェクトリーダーである瀬古利彦氏は語る。だが、有形無形であらゆる変化、進化を促進してきたことは間違いない。
マラソン選手は数名のプロ選手以外、基本的には実業団所属だ。長距離選手の強化に実業団が果たす役割は非常に大きいが、MGCはその関係性にも影響を与えつつあるようだ。
――MGCを進めていく中、実業団に変化は見られましたか。
「MGCがスタートしてからは、実業団もマラソン選手を積極的に育てようというところが増えました。MGCが盛り上がって、それに出場することをステイタスだと感じてくれて、すごく応援してくれるようになりましたね。
実際、MGCの時は企業から応援団が出て、数千人が沿道で応援してくれたんですよ。レース後には、駅伝よりMGCに出したいという声を実業団からもいっぱい聞きました。ホンダ、トヨタからはマラソンでいい選手が出てきていて、あとは旭化成だね。旭化成は駅伝の名門でもあるけど、私はマラソンのチームだと思うので、今回MGCに出場選手がいなかったのはさびしかった」
箱根をマラソンにつなげる指導者の変化。
――学生ランナーに変化はあったでしょうか。箱根駅伝の高速化で選手のレベルが上がり、大学生のうちからマラソンで好タイムを出す選手も増えてきました。
「最近はそうなってきましたよね。箱根駅伝は20キロ以上走るので、間違いなくマラソンの基礎強化になっています。ただ、これまでは箱根駅伝をマラソンの強化につなげようという指導者が少なかったんですよ。箱根駅伝が終わったら、あとは実業団任せみたいな感じで終わっていた。
でも、原君(晋・青学大監督)や大八木君(弘明・駒沢大監督)、酒井君(俊幸・東洋大監督)を始め、マラソンを見据えて箱根駅伝を考える監督が増えてきた。それが学生の意識にも変化を与えたんだと思います」