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瀬古利彦が語るMGC成功の理由。
長期的な練習、1億円、一発勝負。
posted2020/05/05 11:45
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Kyodo News
東京五輪のマラソン代表選手は3月1日の東京マラソン、8日の名古屋ウィメンズマラソンで最終的に男子3名(中村匠吾、服部勇馬、大迫傑)、女子3名(前田穂南、鈴木亜由子、一山麻緒)が内定した。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により、東京五輪は2021年7月に延期。日本陸上連盟は4月3日、4月~6月期の連盟主催大会の延期、中止を決定した。これにより上半期のレースができないという異常事態になりつつある。
東京五輪の1年の延期とコロナ禍の影響、そしてMGCの成功と今後の強化戦略について陸連の強化委員会マラソン強化・戦略プロジェクトリーダー瀬古利彦氏に話を聞いた。
五輪の延期がプラスに働く選手も。
――コロナ禍の影響で大会が軒並み延期、中止になっています。選手への影響は?
「選手はいろんな目標を立てて練習をしていますが、その中で重要なのが試合に出て、結果を出すということです。試合がないと、練習に集中するのはなかなか難しい。マラソンは個人でも練習できて体力の維持はしやすい競技なので、レースができるような状況になった時に力を発揮できるように、今は個人でやれることをやるしかないですね」
――東京五輪1年延期による影響はいかがですか。
「2019年にMGCで代表を決めた中村選手、服部選手、前田選手、鈴木選手の4名は、昨年からずっと準備をしてきたので今年の五輪が待ち遠しかったでしょう。あれからずっと五輪のタイミングに合わせてきていたはずですから。逆に今年の3月に決まった大迫選手、一山選手にとっては五輪まで5カ月しかなく、けっこう切羽詰まった状態だったので、2人にとってはプラスに働く可能性もあるかなと」
――瀬古さんは準備期間が増えたことのプラスもあると考えていますか。
「そうですね。マラソンの開催が札幌に決まってコースはわかったけど、実際に夏の調査は何もできていなかった。これから科学委員会と組んで夏の札幌のコース特性、気温、日陰等いろんなことを調べていけるし、選手も何回かコースを走ると思うので、そういう意味ではこの1年延期をポジティブに考えて、有効に使っていきたい」