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最近バルサは優等生すぎないか。
ライカールト時代の奔放な楽しさ。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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photograph byGetty Images

posted2020/04/30 12:00

最近バルサは優等生すぎないか。ライカールト時代の奔放な楽しさ。<Number Web> photograph by Getty Images

ロナウジーニョ、デコ、プジョル、ラーション……久々のCL制覇達成時のバルサは、かなりのカオスなチームだった。

ライカールト時代も個性派だらけ。

 1999-2000シーズンから5年連続で無冠の時代を過ごし、久々にタイトルを手にするのが、フランク・ライカールト政権2年目の2004-05シーズンだった。"銀河系軍団"と呼ばれたライバルのレアル・マドリーを抑え、ラ・リーガの頂点に立ったチームは翌05-06シーズン、14年ぶり2度目のCL制覇も果たすのだ。

 負の時代に終止符を打ち、のちの隆盛の礎を築いたという意味で、ライカールト時代のバルサには歴史的な価値がある。それでもペップ時代に比べて評価が低いのは、当時のチームもまた、自己主張の強い個性派ぞろいで、決して集団の美を備えていたわけではなかったからだろう。

 ロナウジーニョ、サミュエル・エトー、デコを筆頭とする外国産のタレントに、プジョルやシャビ、イニエスタといったカンテラーノが融合。スペクタクルな攻撃サッカーでファンを魅了したが、それは選手個々の力量と即興性に多くを委ねるサッカーでもあった。だから主力選手のコンディションに左右される部分が大きく、結局チームとしてのピークも短かった。

印象的だったロナウジーニョ操縦法。

 ライカールトもまた、ペップと同じくクライフの薫陶を受けた指揮官だが、“美しく勝つ”というバルサ伝統のフィロソフィーは大切にしながらも、そのアプローチは大きく異なっていた。あくまでもバルサらしいプレースタイルを土台としたペップに対し、ライカールトはまず選手ありきの監督であった。

 あれは6年ぶりのリーグ優勝を果たした直後だから、2005年の夏頃だったと思う。ジャパン・ツアーで来日したライカールトにインタビューする機会があったのだが、そのときのロナウジーニョに対するコメントがとても印象的だった。

「彼は世界屈指のアーティストであると同時に、非常にセンシティブな人間でもある。だからとにかくハッピーな状態、リラックスした状態にしてやること、自分を思う存分に表現できる環境を整えてやることが大切なんだ」

【次ページ】 危うさとアドリブの楽しさが共存。

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