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最近バルサは優等生すぎないか。
ライカールト時代の奔放な楽しさ。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2020/04/30 12:00
ロナウジーニョ、デコ、プジョル、ラーション……久々のCL制覇達成時のバルサは、かなりのカオスなチームだった。
メッシの領域を侵犯しない程度に。
ペップが去った後も、バルサはサッカー界の強者であり続けている。それでも、集団の美を死守していたシャビやイニエスタが去って以降、目に付くのは、とりわけCLの舞台で露呈するひ弱さだ。
ルイス・スアレスを唯一の例外に、ネイマール、フィリペ・コウチーニョといった際立つ個性は、メッシの忠実な家臣になることをよしとしなかった。才気溢れるウスマン・デンベレやアルトゥールは、そのパーソナリティーを押し殺しながらプレーしている。
そしてフロントは、メッシの領域を侵犯しない程度の中途半端なタレントをかき集めては、お茶を濁してきた。
アントワン・グリーズマンでさえ、メッシの顔色を窺い、枠からはみ出そうとしない。ペップ流のチーム作りはペップにしかできなかった芸当だ。カンテラから優秀な人材が台頭してこない現状があればなおさら、一度ペップの敷いたレールから降り、あえてリスクを負ったチーム作りに着手すべきではないか。
きっと賛同者は少ないだろうが、メッシとの別れも選択肢の1つとして考えていいはずだ。
奔放な空気、取り戻せないものか。
最近のバルサのサッカーに胸の高鳴りを覚えないのは、このおよそ10年の間に彼らがこじんまりと、小奇麗にまとまってしまったからだ。今はフロントのゴタゴタだけが、一昔前のカオスを想起させる。
もちろん傍若無人にプレーしろとは言わないけれど、かつてのバルサにはあった、あの奔放な空気を取り戻すことはできないものか。
野性味に溢れたバルサを、久々に見てみたい。