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最近バルサは優等生すぎないか。
ライカールト時代の奔放な楽しさ。
posted2020/04/30 12:00
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
2010-11シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝でバルセロナに敗れた直後の記者会見で、マンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督は、サバサバとした表情でこう話した。
「現在のバルセロナは、私がこれまで見てきたなかで最高のチームだ。だから(敗戦の)言い訳を探そうとも思わない。かつて我々をここまで叩きのめしたチームはなかった。どうか、今日の勝利とプレー内容に酔いしれてほしい。彼らにはその価値がある」
百戦錬磨の名将に、そこまで言わしめる快勝だった。
3-1というスコア以上にユナイテッドを圧倒したこのファイナルを、「バルサ史上最高のゲーム」と評するメディアは、いまなお少なくない。ペップ・グアルディオラ就任3年目、バルサはひとつの完成形を見たのだ。
ピッチ上に無数の三角形を描きながらテンポ良くボールを動かして、敵を食いつかせる。その瞬間を見逃さず、緩から急への唐突とも思えるリズムチェンジで相手の最終ラインに綻びを生み出し、ゴールを急襲。仮に組み立ての段階でボールを失っても、即時のプレスで瞬く間に奪回した。
ペップ体制3年目は完璧すぎた。
精密機械のような美しさ。チームとしての完成度は、スペイン史上初の3冠(ラ・リーガ、コパ・デル・レイ、CL)を成し遂げたペップの就任1年目を上回っていた。
それは、ヨハン・クライフを擁した'70年代初頭のアヤックス・アムステルダムや、プレッシングサッカーで一世を風靡したアリゴ・サッキのACミランなどと肩を並べる、近代サッカー史における記念碑的なチームであっただろう。
もっとも、好きか嫌いかはまた別の話だ。
当時のバルサについて批判的な見方をする者は、重箱の隅をつつくのが大好きな、かなりのひねくれ者に違いない。ただ正直、少しばかりとっつきにくいチームでもあったと思う。美しすぎて近寄りがたい高嶺の花か、はたまたハイオクガソリンしか受け付けない高級スポーツカーか。要するに、ペップ就任3年目のバルサは、完璧すぎたのだ。