熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ドゥンガは食糧25トン、ジーコは?
セレソン勇士のコロナ支援が物凄い。
posted2020/04/30 08:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
REUTERS/AFLO
ブラジルは、新型コロナウイルスが発生した中国とは地球のほぼ反対側に位置する。しかし今年2月以降に感染が急拡大した欧米と距離的に近く、人の往来も多かった。
この国で最初の感染者が確認されたのは2月26日で、最初の死者が出たのは3月16日。以後サンパウロやリオデジャネイロなど大都市は事実上封鎖されたが、感染が拡大している。
4月26日時点の感染者は約6万2000人で、死者は4200人を超えた。
近年の経済成長に伴って中間層が増えつつあるとはいえ、国民の20%以上が貧困層とされる。彼らの大半は、貯えがほとんどないその日暮らし。感染拡大で大勢の人が失業したり収入が激減し、生きるために危険を覚悟で働きに出る人が少なくない。
もともと絶対的貧困に喘ぎ、なお一層困窮する人々を助けようと、ブラジルのフットボール界が立ち上がった。
カカ、ロベカル、ネイマールらの行動。
3月末、元ブラジル代表FW(2002年ワールドカップ優勝メンバー)で現在はテレビ解説者のデニウソンとブラジル代表GKアリソン(リバプール)が親交のある選手、元選手にサイン入りのユニフォームやスパイクの提供を求め、ネット上で500レアル(約1万円)から1万レアル(約20万円)で販売するとともに、20レアル(約400円)からの寄付を募る活動を始めた。
カカ、カフー、ロベルト・カルロスらかつてのスーパースターたち、現役バリバリのブラジル代表のダニエウ・アウベス(サンパウロ)、ロベルト・フィルミーノ(リバプール)ら100人以上が協力し、4月末時点で約120万レアル(約2400万円)が集まっている。
ブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョ(バイエルン・ミュンヘン)は、出身クラブであるヴァスコダガマ(リオ)のホームスタジアム近辺の貧民街の人々に約20トンの食糧品と衛生用品を届けた。
ブラジル代表のエースであるネイマール(パリ・サンジェルマン)も、ユニセフの貧困対策のための基金に約500万レアル(約1億円)を寄付したと報じられた。